フィリピンのドゥテルテ大統領は5月23日夜、同国南部のミンダナオ島と周辺の島々に対し、一時的に軍が統制する戒厳令を出した。イスラム武装勢力と軍との抗戦が激しくなったためという。国営フィリピン通信などが報じた。
国営フィリピン通信によると、双方の衝突は23日午後、ミンダナオ島西部のマラウィで始まった。政府軍が、島を拠点にテロ活動を続けるイスラム過激派組織「マウテグループ」に対して軍事行動を開始。組織の最高幹部が潜伏先を急襲するなどしている。CNNによると、フィリピン政府は、マウテグループがイスラム過激派組織IS(イスラム国)と関係があるとみているという。
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戒厳令は自治体などが持つ行政権などを軍が一時掌握する仕組みで、市民の権利が制限されるケースもある。ドゥテルテ氏は軍が行動しやすくし、マウテグループに決定的な打撃を与えることを狙っているとみられる。戒厳令は60日間有効という。
ドゥテルテ氏は22日、ロシアのプーチン大統領と会談するためにモスクワを訪れたが、戒厳令の布告を48時間以内に議会に報告する必要があるため、日程を急きょ変更。会談を25日から23日に切り上げ、帰国した。
ロシア国営のノーボスチ通信によると、会談でドゥテルテ氏は「残念だが帰国しなければない。多くの人が犠牲になっている」と釈明。その上で、「ISと戦うために、フィリピンはロシア製の近代化された兵器が必要だ。これまではアメリカ製の武器を調達してきたが、今や状況はそう簡単ではない」と述べた。プーチン氏も歓迎の意向を表明した。
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