アメリカのトランプ政権で大統領補佐官(国家安全保障担当)を務め、大統領就任前からロシアと接触していた疑惑で辞任したマイケル・フリン氏が5月22日、ロシアによる大統領選への干渉について調査している上院の特別情報委員会の召喚に協力しない意向を表明した。
フリン氏は、自己に不利益な供述を求められないとする合衆国憲法修正第5条の権利(黙秘権)を行使し、議会が召喚状を出して求めたロシア政府との接触に関する文書の提出を拒否しようとしている。
フリン氏は当初、ロシアのセルゲイ・キスリャク駐米大使と電話で密談したという報道を否定し、マイク・ペンス副大統領も繰り返し疑惑を否定していたが、2月9日にワシントン・ポストが密談があったという証言を報じると、それまでの主張を撤回し、ペンス副大統領に謝罪していた。フリン氏は虚偽の報告をしていたという理由で2月13日に大統領補佐官を辞任した。
AP通信によると、フリン氏の弁護士が上院特別情報委員会の委員長らにあてた書簡で、「不当な訴追が行われない保証」がなければ、フリン氏は「質疑や文書の提出についての要請を謹んで辞退することになる」と述べた。
「委員会はフリン氏の証言となる文書の提出を求めたが、自身の証言で不利になるという懸念が払拭されない」と、フリン氏の弁護士ロバート・ケルナー氏は主張した。「複数の議員がフリン氏を調査し、さらに起訴するよう求めている。彼は毎日のように疑惑の標的になっている。証言で一般世論の怒りを煽ることになる」
トランプ氏は、フリン氏の疑惑が持ち上がった後も、しばらく彼を政権内に留めた。ニューヨーク・タイムズによると、トランプ氏の大統領就任前に、フリン氏が政権移行チームに対し、自身が選挙活動中にトルコ政府のためのロビー活動を秘密裏に行っていたとして連邦の捜査対象になっていた。この情報があったにも関わらず、トランプ氏は彼を国家安全保障担当補佐官に任命した。
フリン氏は大統領選の選挙期間中、民主党候補だったヒラリー・クリントン氏の私用メールサーバを設定した技術担当者が、司法の場で黙秘権を行使するのを批判している。
ITのスペシャリストは100回以上黙秘権を行使しているぞ。
トランプ氏もクリントン氏の関係者が黙秘権を行使することについて「無実なら、なぜ黙秘権を行使するんだ?」と批判していた。
上院の特別情報委員会は、トランプ大統領の前顧問カーター・ペイジ氏にも文書の提出を求めているが、ペイジ氏は今のところ協力を拒否している。ペイジ氏は22日、アメリカのニュースサイト「ビジネスインサイダー」に対し、「何も間違ったことはしていない」ので黙秘権を行使する予定はないと語った。
ハフポストUS版より翻訳・加筆しました。
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