「共謀罪」の構成要件を改めて、「テロ等準備罪」を新設する組織的犯罪処罰法改正案が5月19日午後、衆院法務委員会で可決された。民進党や共産党が抗議する中で、与党が質疑を打ち切って強行採決に踏み切った。
犯罪を計画段階から処罰する趣旨を含む組織的犯罪処罰法改正案は、「共謀罪」法案とも呼ばれている。法案の可決を受け、著名人が共謀罪に対する考えをSNS上などで発信した。
委員会で参考人として意見を述べた漫画家の小林よしのりさんは19日、自身のブログを更新。共謀罪が可決されたことに対して、「監視社会になっていくこと確実である」とつづった。さらに「自由が萎縮して、公共の狭まった世界では、人々の活力が奪われて行くし、創造力も減退していく」と、自身の考えを述べた。
脳科学者の茂木健一さんもTwitterに投稿。「賛成された議員の方が、共謀罪の法的な含意と技術的細部を理解されて賛成されたことを望みます」とコメントした。
共謀罪をめぐっては、これまでにもタレントやアーティストもSNS上で自身の考えを語っている。
シンガー・ソングライターの佐野元春さんは5月17日、自身の公式Facebookで、アメリカの作家スーザン・ソンタグの言葉を引用しながら、アーティストの立場からこのようにつづっていた。
「検閲は地雷だ。表現が規制されることほどきついことはない。政府は言う、普通の人には関係ない。しかし判断するのは権力を持つ者、警察だ。ダメと言われたらそれでアウト」
劇作家のケラリーノ・サンドロヴィッチさんは15日、「断固、サミットへの手土産なんかのために共謀罪を強行採決されてはならない。どんでもない未来が待っているかもしれないのだから」とTwitterに投稿。法案への反対の立場を示していた。
タレントの松尾貴史さんは12日、Twitter上で「強行採決されたら、すでにやらかしてしまっている秘密保護法その他とセットで、国民を黙らせる仕組みは完了という状態になってしまう」と述べていた。
お笑いコンビ・ロンドンブーツの田村淳さんも11日、Twitter上で言及。「憲法9条の改憲も気になるけど、共謀罪の方が気になる。このまま共謀罪は通るのかな」と、法案の行く末を注目していた。
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