チェルシー・マニングが釈放される日が来た。アメリカ機密文書を漏洩したトランスジェンダー

「春の暖かい空気を再び吸えるのを楽しみにしています」

チェルシー・マニングとは?

2013年の有罪判決のあと公開されたチェルシー・マニングの2010年の画像。HANDOUT . / REUTERS

チェルシー・マニング(29、出生時の名がブラッドリー・マニング)は元アメリカ陸軍の情報分析官で、2010年におよそ75万ページの機密文書を内部告発サイト「ウィキリークス」に漏洩し、実刑判決を受けた。

マニングのリークをきっかけに、ガーディアンやニューヨーク・タイムズ、ウィキリークスがアフガニスタンやイラクの戦争に関する一連の機密情報を公表した。

マニングはスパイ活動法に違反した罪で2013年に有罪判決を受け、禁錮35年の刑を言い渡された。その直後、マニングはトランスジェンダーであることを告白し、男性ではなく女性として生活することを公言した。

マニングは何を漏洩したのか?

このアメリカ軍の映像の一場面では、バグダッドで軍のヘリコプターが2人のジャーナリストを含む一般市民を攻撃している。

マニングは2007年に陸軍に加わり、2年後にイラクに送られた。マニングは2010年、戦場の動画やアメリカ大使館の外交公電を含む75万件のファイルを空のCDにコピーし、基地から持ち出した。

マニングはこれを当時まだ知られていなかったウィキリークスに提供した。最も有名なのは、アメリカ軍の対地攻撃ヘリコプター(通称アパッチ)が2007年7月にバグダッドで民間人を攻撃した映像で、ロイター通信のジャーナリスト2人を含む9人以上が死亡した。

ウィキリークスによると、チュニジアなどの国家の腐敗を暴露したことで、2011年に北アフリカや中東で一連の革命「アラブの春」を促したという。

ウィキリークスの創設者ジュリアン・アサンジは、漏洩はあらゆる人にとって無害だと主張する。しかしアメリカ政府は、漏洩によって、抑圧的な政権下でアメリカに協力している人々の信用が損なわれたと批判している。

フィリップ・クローリー元広報担当国務次官補によると、アメリカの国家安全保障への最終的な被害は「限定的」だが、漏洩の結果として死者が出る可能性は「非常に高い」という。クローリーは「確かなことは言えません。ジュリアン・アサンジは誰にも被害は及ばない、と何度も発言していますが、彼にも断言はできないはずです」と語った。

なぜマニングは漏洩したのか?

判決を受けるために出廷するブラッドリー・マニング。KEVIN LAMARQUE / REUTERS

2014年のニューヨーク・タイムズによると、マニングは動機について「自国への愛と他人への義務感から」文書を漏洩したと供述した。マニングによると、アメリカ軍は戦争の遂行について報道を規制していたという。「現在、報道の自由に対する制限と政府の過剰な秘密主義のせいで、アメリカ国民は自分たちが出資している戦争で何が起きているのか十分把握できていないと思います」と、マニングは上申書で述べた。

マニングは2013年に判決を言い渡される前、自分はアメリカを「傷つけた」と話した。判決のとき、マニングは裁判官に「人々を傷つけて申し訳ありません。アメリカを傷つけて申し訳ありません」と述べた。

マニングを支援したのは誰か?

PACIFIC PRESS VIA GETTY IMAGES

マニングが投獄されると、内部告発者の権利を擁護する人々の間で議論が巻き起こった。ジュリアン・アサンジだけでなく、マニングは1970年代に機密報告書「ペンタゴン・ペーパーズ」を漏洩した内部告発者ダニエル・エルズバーグから支援されていた。バンド「R.E.M」のマイケル・スタイプやデザイナーのヴィヴィアン・ウエストウッドなどの有名人もマニングを支持していた。マニングの減刑をオバマ前大統領に求める署名は請願時点で10万人に達していた。

オバマ前大統領の任期終了間際に減刑への期待が高まる中、同じく内部告発者のエドワード・スノーデンはTwitterで次のように書いた。「大統領、もしあなたがホワイトハウスを去るときに1つだけ恩赦を与えるなら、どうかチェルシー・マニングを釈放してください。彼女の人生を救えるのはあなただけです」

マニングはいつ釈放されるのか?

バラク・オバマ前大統領は1月、大統領としての最後の執務の1つとして、マニングに減刑の恩赦を与えた。ドナルド・トランプ大統領はマニングを「恩知らずの裏切者」と呼んだ。マニングは5月17日にカンザス州のレブンワース陸軍施設から釈放される予定で、当初の刑期より30年早い。早朝に釈放される見通しだ。マニングは7年間服役していた。

マニングは独房からガーディアンに「春の暖かい空気を再び吸えるのを楽しみにしています」と語った。

「レーザーワイヤや面会ブースなしに人々や自然と再びつながるという、言葉で表せない感情を求めています。家族や友人と再び抱擁できることを望んでいます。そして水泳です。泳ぎに行きたいです!」

(敬称略)

ハフポストUK版より翻訳・加筆しました。

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