アメリカのドナルド・トランプ大統領は16日、Twitterでロシアのセルゲイ・ラブロフ外相とセルゲイ・キスリャク駐米大使と10日に会談した際、過激派組織IS(イスラム国)に関する「高度な」機密情報を共有した事実をほぼ認めた。当初この報道を否定していた政権側の主張に矛盾する発言だ。
トランプ氏は16日早朝、大統領には自らの望みに応じてあらゆる情報の共有を行う「絶対的な権限」がある、と断言した。
私は大統領として、(公表されたホワイトハウスでの会談で)テロ対策や、航行の安全に関する事実を、ロシアと共有したかった。私には、情報共有をする絶対的な権限がある。
人道的理由に加えて、ロシアにはISとテロリズムへの対策をさらに強化してほしいと考えている。
ワシントン・ポストは15日、トランプ大統領が、大統領執務室で行われた会談でロシアのラブロフ外相とセルゲイ・キスリャク大使に機密情報を公表し、「IS関連の非常に重要な情報源を危険に晒した」と報じた。ワシントン・ポストは「情報の内容を明かせば、情報機関の諜報能力を損なう恐れがある、という政府職員からの求めに応じ」、トランプ氏がロシア側に語った具体的内容については報じていない。
その後、BuzzFeedとニューヨーク・タイムズが、ワシントン・ポストの報道を裏付ける形で報じた。
またトランプ氏は、記者に情報を提供した人物を突き止めたいとの意向を示した。
私はコミー長官をはじめとする人々に指示して、政権開始当初から、情報機関内部の情報漏洩者を探っている。
レックス・ティラーソン国務長官、H.R.マクマスター大統領補佐官(国家安全保障担当)をはじめとする政権当局者は、報道を非難した。
マクマスター国家安全保は会見で報道を批判するなかで、「情報源や情報収集手段が話題になることは決してなかった」と述べた。しかしワシントン・ポストの記事では、トランプ氏が情報源や収集手段について明かしたとは報じていない。
マクマスター氏の発言に注意。「情報源や情報収集手段が話題になることは決してなかった」。ワシントン・ポストの報道は、トランプ大統領が情報源や情報の取得手段について明かしたとは一切言っていない。
トランプ氏とロシアとの関係が調査されている中で、共和・民主両党に懸念が広がっている。
ラブロフ外相らとの会談の前日にあたる9日、トランプ氏はジェイムズ・コミーFBI長官を更迭した。コミー長官は、2016年の大統領選でトランプ陣営とロシア政府が接触していた疑惑を捜査していた。
ホワイトハウスは、ラブロフ外相との会談でアメリカのメディアに執務室での撮影を認めなかったが、ロシアの国営タス通信のカメラマンには許可したことで、批判を浴びている。
トランプ氏は、ニューヨーク・タイムズやCNNなど、自分にとって不利益となるニュースを発信する大手報道機関に攻撃的な発言を繰り返している。4月の集会でトランプ氏は「フェイク・ニュース」を報じるメディアを激しく非難し、マスコミは「信用できない」と発言した。また、自身が報道機関を提訴しやすくなるよう、名誉毀損法を改正すべきと訴えている。
ハフポストUS版より翻訳・加筆しました。
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