「これが統合失調症の世界」幻覚や幻聴をイラストで描く十代のアーティスト、その思いとは

ハエは「自分は価値がない、取るに足らない、うざい存在」という気持ちの象徴です。

18歳のアーティスト、ケイト・フェナーさんは、17歳の時に統合失調症だと診断された。

統合失調症が原因で、フェナーさんは不安やうつに苦しんでいるだけでなく、虫の幻覚を見たり幻聴が聞こえたりもする。

その幻覚や幻聴を、フェナーさんはイラストで表現している。

「決して君を手放したりしないよ」(KATE FENNER)

苦しくてつらいはずの幻覚や幻聴を、なぜイラストにするのか、ハフポストUK版がフェナーさんに話を聞いた。

フェナーさんは、メディアが心の病を誤って伝えていると感じており、「心の病を抱えて苦しむ人が、まるで能力がなくて暴力的で怠け者だとメディアで描かれているように感じます」と話す。

「実際にそういう人もいるかもしれません。しかし私が知っている限り、心の病を抱えている人たちのほとんどは、いたって普通の人です。メディアは、心の病を抱えて生きる人たちの本当の姿を描いていないと思います」

また、偏った描かれ方をしていることで、社会にメンタルヘルスに対する理解が進まないと考えている。

「心の病のことを知られると、社会から疎外されたり軽蔑されたりするのではないか。そう思うと多くの人は怖くてオープンに話せません」

「『虫の幻覚を見たり幻聴が聞こえたりする』と話すことには、リスクが伴います。だけど、私はあえてリスクをとりたいんです。『心の病は普通のことなんだ』と伝え、心の病についてもっと知ってもらうために(そして、心の病は話していいことだと知ってもらい、必要な助けを求めやすくしたい)」

「全て燃やしてしまえ」

フェナーさんのイラストに登場するハエは、フェナーさん自身が時々感じる「自分は価値がない、取るに足らない、うざい存在」という気持ちを象徴している。

「『全て燃やしてしまえ』と言っているハエの言葉は、時々耳にする幻聴です。私に火をつけろと告げます」

またクモは、幻覚を見るときに味わう「虫が肌に入り込んで出ていくような感覚」を表現している。

幻覚や幻聴のことを周りに話すと、大抵こんな反応が返ってくるそうだ。

「声が聞こえる、と伝えると戸惑ったような表情を浮かべます。その気持ちはわかる。だけど、私には普通のことなんです」

「私だけじゃありません、他にも同じ状況にいる人はたくさんいます。だから、私は隠さずに話しますし、隠さなきゃいけないとも思っていません。イラストは、それを伝える一つの方法です」

「私はあなたを囲む壁、あなたの土台。あなたを支えるためにいる」

フェナーさんはこれまで何度も自殺を考え、強迫観念から自傷行為を繰り返してきた。腕や足には、今でもその傷が残る。

「そんな時に救ってくれたのは、様々なものから得られるインスピレーションでした。ヒース・レジャー、ティム・バートン、バットマンのコミック……。私のイラストを見て、『自分が一番情熱を感じるものをやってみよう』という気持ちになってくれたら嬉しい。孤独を感じたり、行き詰まったりしている人たちに、イラストが届いてほしいです」

「タバコの吸い殻で、窒息しちゃえばいいのに」

「やつらの美しさを盗んでしまえば、自分が美しくなるはずだ」

「救世主」

フェナーさんは、イラストをInstagramにも投稿している。

ハフポストUK版に掲載された記事を翻訳しました。

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