ライブのチケットが高額転売されている問題を受けて、音楽関連の業界団体が5月10日、定価取引を限定とする音楽業界初の公式転売サイト「チケトレ」をプレオープンした。業界をあげての取り組みに賛同の声が挙がる一方で、「出品者・購入者負担の手数料が高い」と疑問視する意見も挙がっている。
「チケトレ」は、コンサートに行けずにチケットが不要になってしまったファンと、コンサートに参加したいファンをマッチングさせるサイト。出品チケットの購入は先着順となっており、すべて定価で取引される。
サイト運営を担うぴあ株式会社が利用者間のチケット二次売買を仲介し、サービス利用時の会員登録では本人確認が必須のため、出品者も購入者も安心して取引ができるとしている。
同サイトは、日本音楽制作者連盟、日本音楽事業者協会、コンサートプロモーターズ協会、コンピュータ・チケッティング協議会の4団体がチケットの高額転売防止のために設立した。同団体は2016年夏に賛同アーティスト・フェス・イベントとの連名で共同声明を発表し、「転売NO」のキャンペーンサイトも開設している。
「チケトレ」のサービス設立を機に、「不正な取引で多額利益を出しているネットダフ屋を撲滅し、本当にライブに行きたい音楽ファンを救済」することを目指すという。
■「手数料が高い」「出品者にメリットがない」という声も
高額転売防止の取り組みとして、音楽業界が公式転売サイトを開設することに対して賛同する声が挙がる一方で、Twitterなどネット上では「手数料が高い」「出品者にメリットがない」と疑問視する声も寄せられている。
4団体のニュースリリースによると、「チケトレ」のサービス手数料は以下のように設定されている。
【出品者側の手数料】
1. 取引手数料(チケット券面金額の10%、3999円以下の場合は一律400円)
2. システム手数料(送金時の手数料として380円)
上記手数料に加え、チケット配送費は出品者負担となっている。
【購入者側の手数料】
1. 取引手数料(チケット券面金額の10%、3999円以下の場合は一律400円)
2. システム手数料(決済時の手数料としてチケット券面金額の3%)
やむをえずコンサートに参加できなくなった出品者側にも、定価の10%もしくは400円の手数料がかかるという仕組みだ。
ぴあ株式会社の担当者はハフポスト編集部の取材に対し、サービス手数料について、「サービス運営のかかるコストを考慮し、現状の手数料にしている」と説明。その上で、「今後サービス利用者の声を手数料といった価格を変更する可能性も視野に入れています」と語った。
また、「チケトレ」は高額転売対策の一環として開設されたもので、「チケトレ」よりも出品者側の手数料が低いチケット売買サイト「チケットキャンプ」などを競合としていないとも語った。
「チケトレ」は5月10日正午にプレオープンされ、6月1日に正式オープンする予定だ。