5月7日夜、フランス大統領選の決選投票でエマニュエル・マクロン氏が勝利したのを受け、この国に新しいファーストレディが誕生する。ブリジット・トロニュー氏だ。
いつもマクロン氏のそばに寄り添う妻について、夫は「最も信頼できる友」の1人で、「自分の成功の根幹」だと語る。メディアには2人の年齢差(妻が64歳で夫は39歳)に注目した記事があふれているが、フランス史上、最も政治への関与が高いファーストレディとなる可能性がある。
公職に就任する可能性
アメリカではファーストレディに執務空間やスタッフが与えられるが、フランスでは通常、大統領の配偶者にそれと同じレベルで役職を与えることはない。しかし14日に大統領に就任するマクロン氏は、妻により公的な役割を与えることを示唆してきた。
ニュースメディア「The Local」によると、マクロン氏は4月、支持者に向けて「私が選ばれたら、いや失礼、私たちが選ばれたら、彼女にも一定の役割と地位が与えられるだろう」と語った。
また「フォーブス」によると、マクロン氏は「彼女はかげに隠れたり、身を潜めたり、Twitterの話題になったりはしない。彼女はいつも私の横にいたし、これからもそうだろう」と語っている。
トロニュー氏自身は2016年、雑誌「Paris Match」で「ファーストレディとして、教育や若者に関する事柄に取り組むつもり」だと、決意を語っている。
2017年5月7日にフランスのル・テュケの投票所で票を投じるトロニュー氏。ERIC FEFERBERG VIA GETTY IMAGES
性差別や年齢差別と闘う
トロニュー氏はマクロン氏の25歳年上だ。大部分のメディアはこの点をしつこいくらいに取り上げているが、高齢の男性が若い女性と結婚しても大した騒ぎにはならない。例えば、アメリカのドナルド・トランプ大統領はメラニア夫人のおよそ24歳年上だ。
「もし私が妻より20歳年上だったら、それが正当な関係なのかどうか誰も疑問視しなかっただろう」とマクロン氏は4月「ル・パリジャン」に語っている。「妻が20歳上だというだけで、その関係性を支持できないと言われてしまう」
しかしメディアから屈辱的なニックネーム(「フランスのファーストおばあちゃん」や「更年期のバービー」など)を一斉に浴びせられても、彼女は選挙戦を通じてひとときもマクロン氏のそばを離れることはなかった。若い男性とロマンチックな関係を結ぶ女性をに食ってかかる性差別主義者や年齢差別主義者をものともせず、選挙イベントの壇上で夫を抱擁するトロニュー氏は勇敢な女性に見える。
2017年4月23日、パリでの演説の前にマクロン氏にキスするトロニュー氏。PHILIPPE WOJAZER / REUTERS
教育経験者
2015年にマクロン氏のフルタイムのアドバイザーとなるまで、トロニュー氏はパリのイエズス会系高校「リセ・サン=ルイ=ドゥ=ゴンザーグ」で教鞭をとっていた。
それ以前はマクロン氏の通っていた高校で演劇講師を務めていた。北フランスで2人が出会ったのは1993年。当時マクロン氏は15歳で、トロニュー氏は既婚、子供も3人いた。その後、2007年に最初の配偶者のもとを去り、マクロン氏と結婚することになる。
トロニュー氏は2016年、「一緒に台本を執筆していたのですが、この少年の知性に徐々に圧倒されていきました」とドキュメンタリーの中で回想している。「彼の教養や賢さ、整然とした頭脳。素晴らしいものでした」
BBCによると、トロニュー氏が生まれた家はフランスのチョコレートメーカーの経営者だ。
2017年4月22日、選挙活動の一環で訪れたフランスのレ・テュケ=パリ=プラージュで写真に収まるマクロン氏とトロニュー氏。SYLVAIN LEFEVRE VIA GETTY IMAGES
マクロン氏が助言者として最も信頼を寄せる1人
マクロン氏は4月の大統領選の第1回投票で勝利した後、トロニュー氏について「彼女なしでは今の私はなかっただろう」と語った。
かつて高校で演劇を指導したように、トロニュー氏は選挙戦を通じてマクロン氏の壇上での振る舞いについてアドバイスしたと言われている。
ガーディアンによると、演説のリハーサルの際には「低い声になっているわ。もっと声を張り上げて」と助言したという。
また、BBChttp://www.bbc.com/news/world-europe-39842232によると、男女の平等について取り組むようにマクロン氏に勧めたのも彼女だという。次期大統領は、今年後半に自身が率いる政治運動「アン・マルシュ!」支持者から出馬する候補者の半数を女性にすると公約している。
ハフポストUS版より翻訳・加筆しました。
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