なぜあの人はいつも遅刻するのか?心理学で説明された3つの原因と対策

精一杯心がけているつもりでも、約束した時間よりいつも10分、遅れてしまう。そういう人は信頼できる人間、だろうか?

精一杯心がけているつもりでも、約束した時間よりいつも10分、遅れてしまう。そういう人は信頼できる人間、だろうか?

研究によると、慢性的な遅刻は不注意でも、運悪く地下鉄で待たされたせいでもなく、人格特性によるものだという。時には自分の意思に関係なく、何度も遅刻を繰り返すのには、複数の性格特性が影響している。

しかしそれは、遅刻が永久的に続く習慣であるという意味ではない。原因を特定できれば、遅刻をなくすためにできることはたくさんある。いつも最後に到着する人には誰もなりたくないだろう。

■同時に複数のことをやりすぎているかもしれない。

複数のことをやっていると時が経つのは早い。2003年に、ニューヨーク市地下鉄の労働者を対象にした研究では、同時に複数の作業をやっている人は1つの作業に集中している人に比べて仕事に遅れることが多いことがわかった。

これは自分自身の行動を認識する「メタ認知」と呼ばれる現象が原因かもしれない。遅刻癖がある場合、時間通りに進んでいるかを確認するために必要なことをやっているかどうかの認識だ。同時に複数のことをやるマルチタスクは、一般的にメタ認知を難しくさせる、とビジネス系サイト「ビジネスインサイダー」は報じた。

対策:気が散っても作業を順調に進められるようにアラートやリマインダーをセットする。

遅刻をなくすためにどんな対策をするべきか?

「しっかりとした予定を組み、会議や予約の時間の10~15分前にプロンプト付きリマインダーを設定しておくことです」。とマサチューセッツ大学アマースト校の心理学・脳科学教授スーザン・クラウス・ホワイトボーン氏はハフポストに語った。

またクラウス・ホワイトボーン氏は、A地点からB地点まで時間に余裕を持って移動するためには、緻密な計画を立て、それに基づいてリマインダーを設定することを推奨している。

■体内時計が動いていないのかもしれない。

また、クラウス・ホワイトボーン氏によると、体内時計は時間を管理するのに役立つ。だからいつも遅刻している人は、この非常に正確なコンパスを持っていないのかもしれない。

2016年の研究で、常習的な遅刻は「時間ベースの展望記憶」(TBPM)が起因している可能性があることがわかった。これは時間をきっかけに引き起こされる記憶の機能、たとえば毎週9時にテレビ番組を観ることを思い出すなどといったことだ。

この研究では、次のように時間ベースの展望記憶を測定した。

参加者にジグソーパズルなどの課題を与え、一定の時間内でそれを終えるように伝える。ここで作業を完了させるためにはペース配分を考えなければならない。参加者には作業中、時間を確認する自由が与えられた。しかし、実験では参加者が作業に没頭するため、時間を確認する可能性は薄い。

研究の大部分で、人は時間を調整するのに体内時計を当てにし、また作業を完成させた人は体内時計をよりうまく使い、時間をよく認識をしていることがわかった。

心理学の専門誌『サイコロジー・トゥデイ』の中で、クラウス・ホワイトボーン氏はこのプロセスを実生活にどう応用すればいいか説明した。

TBPMの実験は、SNSをチェックするなど、あなたが1つの作業に没頭しているとき、同時に時間通りに家を出て職場に向かうなどといった状況に似ている。あなたは5分しか過ぎていないと思っていても、実際は20分も過ぎている。TBPMの作業が得意な人は、時間を定期的に確認することができるので、不正確な自分の体内時計に頼りすぎることがない。

対策:時間を推測する能力を鍛え直す

分単位で時間を管理することに関して、自分に対する1番の批評家になる努力をすること。時間感覚を鋭くするためにできるタスクがあるとクラウス・ホワイトボーン氏は述べた。

「私たちには体内時計がありますが、もしいつも故障しているなら、それを元に戻すために自分で訓練する必要があります。1つは、手がかりなしの時間あてゲームをして、実際とどれほど離れているかを確認することです。体内時計のリセットも時間を推測する能力を鍛えなおすのも同じぐらい簡単なことです」

■「タイプB」の性格の人。

研究では、いつも遅刻する人は、時間を少なく見積もる傾向があり、そんな性格が影響していることを示唆している。研究では「タイプB」の行動を見せる人、またはのんびりとした性格の人は時間の認識が不正確だ。

その研究によると 成果主義の「タイプA」の性格特性は、タイプBの人より時間の認識がもっと正確だ。研究の中で、タイプBの人は1分を測ろうとすると、実際よりもあまり時間が過ぎていないように感じるようだと結論が出ている。

「タイプAの人は、58秒経った時点で『1分経った』と見積もり、タイプBの人は77秒の時点を1分と推測した」とウォールストリート・ジャーナルは報じた。

対策: 共感すること

のんびりとした性格であることは何の問題もない(メリットにさえなる!)が、他人を思いやれないほどのんびりしないことが重要だ。クラウス・ホワイトボーン氏は、会う相手のために、スケジュールを組む時に数分追加することを勧めている。

クラウス・ホワイトボーン氏は「あなたがいつも誰かを待たせる人だと想像してみてください。イライラするでしょう。他の人もそうです」と述べた。

何より、遅れないようにわずかな新しいライフスタイルを習慣に組み込むことは、結局あなたにとって1番ためになる。特に、自分自身の高評価のためにもと実践するべきとクラウス・ホワイトボーン氏は説明した。

「いつも自分が遅れることを感じていると、ストレスレベルが上がります。これはあなたの健康にとっても最悪です。だから無理だと思っても努力して変わりましょう」と述べた。

遅れることをやめるのに、遅すぎることはない。

ハフポストUS版に掲載された記事を翻訳しました。

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