ホワイトハウスは、4月中に医療費負担適正化法(アフォーダブル・ケア・アクト、別名オバマケア)の撤廃・代替案の採決を行うよう、共和党下院議員への圧力を強めている。しかし法案自体が存在せず、どのような法案にすべきかという合意もない。さらにポール・ライアン議長(共和党)も、失敗する運命の法案について採決を急ぐ姿勢は見せていない。
「今週採決を行いたいと思っているし、今週中の採決を望んでいることを指導部も理解していると思う」と、ホワイトハウスのラインス・プリーバス首席補佐官は4月23日、NBCの「Meet The Press」で語った。
ホワイトハウスのミック・マルバニー行政管理予算局(OMB)局長は23日、「FOXニュース・サンデー」で「共和党執行部が(29日に予算が切れる)政府機関閉鎖の回避に努力しているのは分かっている。オバマケアの撤廃と政府予算の成立を党が同時にやれない理由はない」と述べた。
「下院と上院が1週間で両方できない、構造的な理由はないと思う」とマルバニー氏は語った。「下院と上院が29日まで開かれるという話も聞いた。今週中に達成できれば素晴らしい」
問題は、今週中にどれだけのことができるかだ。KEVIN LAMARQUE / REUTERS(写真はマルバニー行政管理予算局局長)
今週中に2つの法案を通すという考えは、非現実的ともいえない。共和党が政府閉鎖を回避できれば成功といえるだろう。しかしそれによって、ホワイトハウスが何を基準に方針を決めているかという点が浮き彫りになる。29日はトランプ大統領の就任100日の節目であり、その前に何らかの成果がなんとしても欲しいようだ。
喫緊の課題は政府を機能させ続けることだ。2016年10月以降、議会では暫定予算を何本も可決させて閉鎖を回避してきた。そして今、現在の規模の予算を延長するか、共和党の他の優先課題のために増額するかを29日の前に決めなくてはならない。
これがやっかいな事態を引き起こしている。大統領は悪名高き国境の壁の建設費用を組み込むように党に要求し、民主党(と共和党の一部)はそのような案は否決すると主張している。つまり共和党が「トランプウォール」の予算を押し通せば、法案は退けられ政府の閉鎖につながる可能性がある。
ライアン議長や共和党執行部は、閉鎖は回避すると22日に断言したが、具体的な戦略は見えていない。
オバマケアを廃止し、より良い制度に替えるための法案を通すのがさらに難題なのは言うまでもない。代替法案の成立を目指したライアン議長の最初の試みは先月、失敗に終わった。投票総数が足りなかったため撤回せざるを得なかったのだ。共和党の保守派と穏健派は医療改革の詳細について意見が一致しておらず、民主党はそのような試みに結束して反対している。
このような複雑な状況を受け、トランプ大統領は「大きな成功」のハードルを「就任100日での政府閉鎖回避」といった低い目標に下げざるを得ないだろう。
ハフポストUS版より翻訳・加筆しました。
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