文科省は4月11日、福島第一原発の事故などで福島県から避難した子供へのいじめが、2017年3月までに199件あったとの調査結果を発表した。これ以外にも、事実関係を確認中のいじめが5件あるという。ただし、文科省はこのうち13件についてのみ、東日本大震災や原発事故に起因するいじめと認定。全体の1割未満に留まる結果となった。
文科省調査よりハフィントンポスト作成
調査では、福島県から県内外に避難している小学生から高校生までの約1万2000人を対象に、いじめにあった件数を調べた。その結果、2016年度は129件で、15年度以前も少なくとも70件あったことが判明した。
このうち東日本大震災や原発事故に関するいじめと認定されたのは、2016年度が4件、15年度以前が9件で、計13件だった。「お前らのせいで原発が爆発したんだ」「放射能がつくから近づくな」などと言われた小学生がいた。被害を受けた人の中には、保護者にも学校の教員にもこの事実を伝えていなかった子供もいた。
文科省は子供がいじめを訴えないこともあるため、すべてのいじめの状況が網羅されているとは限らないとしている。NHKの調査によると、福島県から避難した約740世帯に対して行ったアンケートでは、少なくとも54人の子どもたちが「原発避難いじめ」に遭ったと回答していた。
松野博一文部科学相は4月11日に記者会見し、「いじめの背景には、放射線への理解不足や、避難を続ける方々の辛い思いに関する理解不足があるものと考える」とコメント。「教育委員会・学校に対し被災児童生徒への心のケアなど、日常的に格別な配慮を行うとともに、児童生徒が放射線に関する科学的な知識を身に着け、理解を深められるよう放射線教育の充実に務めることなどの対応を求めている」などと述べた。
福島県では独自に道徳の資料を作成。自主避難した中学生が転校したときの気持ちや、風評被害の現場に遭遇したときの思いなどについて、子供たちに考えてもらうような授業も行われている。
ふくしま道徳教育資料集より