イギリス・バーミンガムで4月8日、極右団体「イングランド防衛同盟(EDL)」が開いた集会に、団体のリーダーに微笑みながらも堂々と対峙した若いパキスタン系の女性の写真がSNS上で瞬く間に拡散し、称賛を集めた。
EDLのリーダー、イアン・クロスランド氏に微笑みかける姿がSNSで何千回もシェアされ、サフィーヤ・カーンさんは、極右に対抗するシンボルとなった。
イギリスのプレスアソシエーション通信のカメラマン、ジョー・ギデンズ氏が撮影したこの写真には、バーミンガム・ヤードリーのジェス・フィリップス議員やニュース番組『グッドモーニング・ブリテン』の司会者ピアーズ・モーガン氏などからコメントが寄せられた。
ここで力を持っているのは、左にいるバーミンガムの住人か、それともこの日だけこの町に来て共感を得られなかったEDLか。
パキスタン系とボスニア系の両親を持つハーフとしてイギリスに生まれたカーンさんはBBCに対し、写真の反響に「とても驚いています」と述べた。
またカーンさんはカウンターデモに参加するつもりはなかったが、EDLのメンバーらが「イスラムフォビア(イスラム恐怖症)」と叫んだある女性を取り囲んだため、割って入ったと話した。
「かなり大柄の若者25人が、女性を取り囲んでいたんです」
「女性は360度囲まれていたので、私は前に出て、女性を支持してEDLに対抗することにしました」
衝突が起きた時の別の写真には、クロスランド氏の振り上げた拳を警察官が抑えようとする姿が写っている。
カーンさんとクロスランド氏が対峙する別の写真。PA WIRE/PA IMAGES
写真に写る2人の間には明らかに緊迫した空気が流れているが、カーンさんは最後まで平常心を保っていたと、『ミラー紙』に語った。
「(EDLの支持者は)顔を指で突いてきましたが、私は一切手を出しませんでした。何もしませんでした。そういうつもりはまったくなかったんです」
「実は何を言われたのかよく分かりませんでした。何かモゴモゴ話していたので。ちっとも怖くありませんでしたね。そんな状況の中でも、平静でいられました。彼らは私を怒らせようとしましたが、挑発には乗りませんでした」
「多くの人がこんなに支持するとは思わなかったので、やったことに価値があると思いました」と、カーンさんは語った。
これを読んだらサフィーヤ・カーンがもっと好きになる。勇敢な女性だ。
警察によると、センテナリー広場で行われたEDLのデモ集会は約100人の支持者が集まり、特に何の妨害もなく開催された。
ウェストミッドランド警察はカウンターデモに参加したとみられる2人を治安を妨害した容疑で逮捕したと発表した。
バーミンガムのセントラル・モスクでは「ベスト・オブ・ブリティッシュ」というカウンターデモが開かれた。
PA WIRE/PA IMAGES
バーミンガム市議会の労働党、自由民主党、保守党のリーダーたちは、EDLのデモ中、普段通りに生活するよう呼びかけた。
ジョン・クランシー、ロバート・オールデン、ジョン・ハント氏ら各党の代表は市議会を通じて声明を出した。「イングランド防衛同盟はバーミンガムには要らない。今後彼らがバーミンガムで歓迎されることは、決してないだろう」
ハフィントンポストUK版より翻訳・加筆しました。
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