ナイジェリア北東部で3月末、イスラム過激派組織ボコ・ハラムが2カ所の村を襲撃し、少女と女性を22人拉致した。地元住民の証言としてガーディアンなどが4月1日に報じた。
ボコ・ハラムは3月30日、カメルーンとの国境に近いプルカ村を襲撃し、18人の少女を拉致した。
「ボコ・ハラムの最高幹部マムマン・ヌール容疑者のキャンプからやって来た兵士が、午前6時ごろ軽トラックでやって来た。住民たちが茂みの中に隠れようとしている間に、兵士たちは17歳以下の少女14人を捕まえた」と、プルカ村の族長は報復を恐れ名前を明かさない形で、AFP通信に語った。「彼らはほかに茂みの中に逃げていた4人の少女を捕まえた」
当局によると、襲撃した兵士はボコ・ハラム創設者で、2009年に死亡したモハメド・ユスフの息子アブ・ムサブ・アル・バルナウィ容疑者をトップとする派閥に忠誠を誓っている武装集団と見られる。バルナウィ容疑者は2016年8月、過激派組織IS(「イスラム国」)から「西アフリカ州」の「州知事」に指名されたと報じられている。
ほかの住民も襲撃があったことを認め、「少女たちは兵士たちの花嫁になるだろう。襲撃の間、兵士たちは誰も傷つけなかったし、村から逃げる人を銃撃することもなかった」と語った。
もう一つの襲撃はチャド湖近くのダンバ村近郊で発生した。ボコ・ハラムと敵対する武装勢力のメンバー、アダム・アフメド氏は「ボコ・ハラムの兵士は用心棒代を支払うことを拒否し、逃げようとした牛飼いを殺害した」と語った。
「ボコ・ハラムの兵士が金を要求して来た時、彼らは、牛飼いが所持品すべてを持って逃げたと気づいた。そこで兵士たちが牛飼いをバイクで追いかけた」と、アフメド氏は語った。「彼らはダンバ村近くで牛飼いを捕まえて惨殺し、彼が所有していた牛50頭を射殺した。そして牛飼いの家族の女性4人と残りの牛を連れ去っていった」
ナイジェリア北部を主要活動地域とするスンニ派過激組織「ボコ・ハラム」は「西洋式の教育は罪」という意味で、1990年代中頃に設立されたイスラム教学習グループを母体として2002年頃に設立者モハメド・ユスフ師を中心として結成された。ナイジェリアの「タリバン」を自称し、(1)ナイジェリア政府の打倒、(2)(「ボコ・ハラム」発足地である)ボルノ州におけるシャリーア(イスラム法)施行、(3)西洋式教育の否定などを標榜している。
攻撃対象はナイジェリア北部及び中部の地方自治体、軍、警察、政府関係者及び施設で、2009年7月にモハメド・ユスフ師が射殺された後、新しい指導者となったアブバカル・シェカウ師がテロ活動を再開。2011年には警察、国連施設、イスラム神学校、キリスト教会、民家などへの連続爆弾攻撃で300人以上が死亡するなど活動は過激化している。2014年5月7日にはボコ・ハラムとみられる武装グループの銃撃で少なくとも125人が殺害された。
「ボコ・ハラム」の活動は現在ナイジェリア北部地域に限定されているが、「イラクのアルカイダ」(AQI)やアルジェリアを拠点とする「イスラム・マグレブ諸国のアルカイダ」(AQI)といった組織と連携している可能性がある。
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