アメリカのドナルド・トランプ政権は3月27日、政府機関改革の新組織「アメリカン・イノベーション局」をホワイトハウス内に設立すると発表し、責任者としてトランプ氏の娘婿ジャレッド・クシュナー氏を任命した。
コロラド州の山岳リゾート地アスペンでの休暇から戻ったばかりのジャレッド・クシュナー氏が、ビジネス手法を用いて連邦政府の大幅な立て直しに取り組むという。
クシュナー氏は26日、ワシントンポストのインタビューで新組織の構想について初めて明らかにし、「政府は偉大なアメリカ企業のように運営されるべきだ」と語った。「顧客、つまり国民の皆さんのために成功を収め、高い効率性を達成することが我々の望みだ」
ワシントンポストによると、「アメリカン・イノベーション局」はすでに、Appleの最高経営責任者ティム・クック氏、Microsoftの創業者ビル・ゲイツ氏、 Teslaの創業者イーロン・マスク氏をはじめとする実業界のリーダーたちにコンタクトを取っているという。
ドナルド・トランプ大統領は娘婿のジャレッド・クシュナー氏を、退役軍人制度の改革、オピオイド系処方薬の中毒問題の是正、中東の和平創出などに取り組む新事業の責任者に任命した。 KEVIN LAMARQUE / REUTERS
クシュナー氏には行政制度を一新する強力で広範な権力が与えられ、トランプ大統領の公約実現を後押しすることとなる。 ワシントンポストによると、クシュナー氏が政治へ応用するとしているビジネス手法には、政府が手がける事業の一部を民営化することも含まれているという。
トランプ大統領は声明の中で「政府の機能不全のせいで我々が適切に能力を発揮することが出来ず、広範な停滞や過密状態、予算超過や運用の遅れがもたらされているというのは個人の政治観に関わりなく、すべてのアメリカ国民が認識できることだ」と述べた。また、新設の改革チームは、自身の「スケジュールと予算に余裕をもたせるという精神性を、政府の運営に反映させる」だろうとコメントした。
クシュナー氏の指名は、共和党の医療保険制度改革法(オバマケア)代替法案の可決が失敗に終わり、トランプ政権が大敗を喫した数日後に発表された。24日、共和党が承認に必要な数の賛成票を集められないことが明らかとなり、法案は取り下げられた。
「アメリカン・イノベーション局」が真っ先に取り組むとしている事業には、退役軍人制度の改革やオピオイド中毒問題への対処など、ビジネス手法での解決に適さないと思われる課題も含まれている。
改革チームは経済界の重鎮たちの参加を予定している。全米国家経済会議委員長ゲーリー・コーン氏や政府・科学技術イニシアチブ担当補佐官のリード・コーデッシュ氏、ゴールドマン・サックス前社長で現国家安全保障代理顧問兼経済イニシアチブ担当上級顧問のディナ・パウエル氏、戦略イニシアチブ担当補佐官のクリス・リッデル氏などがメンバー候補に挙がっていると、CBSニュースが報じた。
今回任命された新たな役職は、すでに手一杯の仕事を抱えているクシュナー氏にとってさらなる負担となる。大統領上級顧問でもあるクシュナー氏は、外交政策担当顧問も努め、和平構築支援の責任者としてイスラエル・パレスチナの橋渡し役を務める重要人物でもある。
ハフィントンポストUS版より翻訳・加筆しました。
▼画像集が開きます
(スライドショーが見られない方はこちらへ)