JASRACを提訴した裁判を棄却。作曲家「別人を登録」 ⇒ 裁判官「事務処理上の誤り」(UPDATE)

アイドルグループに楽曲を提供したら、別人が作曲者として日本音楽著作権協会(JASRAC)に登録されていたとして、作曲家の男性がJASRACなどに対して著作権使用料を徴収しないように求める訴えを東京地裁に起こした。
時事通信社

アイドルグループに楽曲を提供したら、別人が作曲者として日本音楽著作権協会(JASRAC)に登録されていたとして、作曲家の男性がJASRACに対して著作権使用料を徴収しないように求める訴えを東京地裁に起こした。3月14日の第一回口頭弁論後、原告の代理人が東京の司法記者クラブで会見を開いた。

訴えたのは、作曲家の嶋崎宏さん。「メランコリーメリーグラウンド」という楽曲を作曲し、2016年2月に、アイドルグループ「ドリィムアビリティ」(1月に解散)向けに提供した。同グループのプロデューサー・加賀爪タッドさんが歌詞をつけて、このグループのコンサートなどで歌われていたという。しかし、JASRACの公式サイトのデータベース「J-WID」には、作曲者が嶋崎さんではなく、加賀爪さんとして登録されていたという。

代理人によると、加賀爪さんが自分が作曲者だと偽って、音楽出版社と契約を結び、この音楽出版社がJASRACに著作権管理の信託をしたことが考えられるという。

この楽曲の記載は3月14日現在、J-WIDからは削除済みだ。JASRACの広報担当者は、ハフィントンポストの取材に対して「係争中なのでコメントは控えたい」と回答した。

■作曲家の訴えを棄却(UPDATE)

東京地裁の矢口敏哉裁判官は7月27日、嶋崎さんの訴えを棄却した。判決文によると、JARACが原告の主張を認めて、すでにデータベースから記述を削除していたことから、著作権使用料の徴収差し止めは「理由がない」とした。

さらに訴訟の中で加賀爪タッドさんに謝罪広告を求めたことに対しても「事務処理上の誤りにより、本件楽曲がJASRACにおいて管理されるに至ったものであり、このことに被告加賀爪が関与しているとは認められず」として退けた。嶋崎さんの代理人弁護士によると「著作権が嶋崎さんに帰属することが確認できた」という理由で、控訴しなかったという。

加賀爪タッド(本名:加賀爪忠勝)さんは、ハフポスト日本版の取材に対して「無事に裁判は終わったが、裁判の途中で原告が会見を開いたことで、仕事をする上で非常に迷惑している。こういう判決が出たことを正しく広めてほしい」とコメントした。

(UPDATE 2017/08/31 11:04)

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