国有地売却問題に揺れる大阪市の学校法人「森友学園」をめぐり、稲田朋美防衛相は3月14日、同学園が起こした民事訴訟への関与を否定した自身の国会答弁を訂正し、謝罪した。
稲田氏は、衆院本会議で升田世喜男氏(民進党)の質問に答える形で、以下のように述べた。
「私は籠池氏の事件を受任したこともなければ、裁判を行ったこともない旨の答弁をいたしましたが、これは委員会の場で突然過去の12年前の資料に基づくご質問であったので、私の全くの記憶に基づき答弁したものでございます。今朝の報道において13年前の裁判所の出廷記録が掲載されました。平成16年12月9日、夫の代わりに出廷したことが確認できましたので、訂正しお詫びいたします」
稲田氏はこれまで国会で、森友学園側の顧問弁護士だった事実はないと答弁してきた。13日の参院予算委員会では、「籠池氏の事件を受任したこともなければ、法律相談を行ったこともありません」「法律相談を受けたこともなければ裁判を行ったこともない」と述べている。
しかし14日朝、森友学園が起こした民事訴訟で、稲田氏が原告側代理人弁護士として出廷した裁判記録があると共同通信などが報じた。これを受けて稲田氏は閣議後の記者会見で、「第一回期日に夫(稲田龍示氏)の代わりに裁判所に行ったということはあり得るのかと推測できると思っております」と説明。虚偽答弁の可能性を指摘されると、「13年前の抵当権抹消事件でありまして、私は記憶に基づいて今まで答弁してきたということでございます」と述べた。
また、14日の衆院本会議で稲田氏は、森友学園の理事を務めていた籠池泰典氏との関係について、「ここ10年来疎遠にしております」とこれまでの説明をあたらめて主張。「私が受任した森友関連事案は、現時点で確認が取れているものはこの1件(抵当権抹消事案)です。籠池氏との顧問契約については平成16年10月に夫の稲田龍示が締結し、平成21年8月ごろに終了しております」と述べた。
安倍晋三首相はこれに先立って、本会議で「閣僚の任命責任は全て内閣総理大臣たる私にあります。その上で、稲田大臣にはしっかりと説明責任を果たし、今後とも誠実に職務に当たってもらいたいと考えております」と述べ、辞任を否定した。