学校のプールでの飛び込みについて、「1メートルのプールでも飛び込みの練習はできる」「なんでもかんでも危険だからと全面禁止し、もやしっ子を育てあげていくのはどうかなと思う」――。鈴木大地スポーツ庁長官の発言をめぐり、インターネット上では波紋が広がっている。
これらは、プールに飛び込んで生徒がけがをした事故を背景に、東京新聞のインタビューに答えた鈴木氏の言葉だ。同紙WEB版(3月7日付)に掲載され、内容をめぐりTwitterなどで議論になっている。
鈴木氏は、プールでの飛び込みに対する考えを尋ねられると、「水深が3メートルあれば、まったく事故にはならないだろう。だが維持費や建設費の問題もあり、水深が浅く、小さな子も使えるようにと、プールの構造上の問題があったと思う」と、危険性があることを認めた。
それでも、「なんでもかんでも危険だからと全面禁止し、もやしっ子を育てあげていくのはどうかなと思う」と禁止に反対する立場を示した。
「水深1メートルのプールでも飛び込みの練習はできる」と強調し、事故を防ぐためには「指導法が問題で、質の高い教員を採用することが大切だ」と訴えた。
鈴木氏の発言や飛び込みスタートに対し、Twitter上で相次いだ反対の声をまとめた。
危険を回避する能力が身に付かなくなることを理由に、鈴木長官が飛び込みスタートの禁止に反対であることについて、「競技による危険より『もやしっ子』を問題だと思っている。そんな環境で子どもに運動させられるか」「事故で一生を棒に振る子が出ても構わないレベルなのか」と疑問を呈する意見が出た。
施設環境については、「プールがすぐに深くなったり、飛び込みを安全に教えられる先生が増えたりするわけではないし、現実的に安全に飛び込みができる環境は学校にない」と懸念する声があった。
「飛び込みと『もやしっ子』とは関係ない。スポーツ選手になるのでなければ、飛び込みができなくても何も困らないでしょう」と、飛び込みスタートは必要ないと訴える人もいた。
■飛び込みで事故で後遺症も
学校のプールに飛び込んだ子どもが、けがをする事故が全国で起きている。
鳥取県の町立小学校で2016年7月、6年生の女子児童が飛び込みの練習中に頭をプールの底に打つけがをし、首の痛みや手のしびれなどの後遺症が残った。
飛び込みが苦手な生徒が、指導に当たっていた教員が不適切な発言をプレッシャーに感じ、事故につながった可能性があると町の教育委員会が指摘したと、3月4日にNHKが報じている。
東京都や長野県でも、いずれも高校3年の男子生徒がプールに飛び込み首を骨折。事故を受けて授業での飛び込みを原則禁止にしている。
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