トンプソン容疑者は元記者で、2016年に捏造記事を執筆して勤務先のネットメディアから解雇されていた。
2016年2月、記者としてニュースサイト「インターセプト」に勤務していたトンプソン容疑者が担当記事数本の内容を部分的に捏造していたことが発覚し、「インターセプト」のベッツィー・リード編集長はトンプソン容疑者の解雇を発表した。
3日、インターセプトは声明を発表し、トンプソン容疑者が元恋人に対するサイバー・ストーキングと、ユダヤ人コミュニティ・センター(JCC)や名誉毀損防止同盟(ADL)への脅迫行為で逮捕されたことを知り、「震え上がる思い」だと述べた。
「こうした行為は非常に悪質であり、徹底な捜査と訴追がされるべきだ」と、インターセプト編集部は声明で述べた。「トンプソン容疑者の罪状に関して、刑事告訴状に記載されていること以外に、我々が持っている情報はない」
告訴状によると、トンプソン容疑者は元恋人を標的とした嫌がらせと恫喝を繰り返した。罪を被せるために彼女の名前を語って脅迫行為に及んだほか、自分の名前でも脅迫を行い、「元恋人が自分を陥れようとした」と主張した疑いが持たれている。
例の @SecretService がツイート履歴を見て俺のやり方に文句をつけてきた。俺が付き合ってる白人のクソ女が告げ口したからだ。黙ってないぞ。
今年に入って、ユダヤ教関連施設に対する脅迫は100件を超えていた。ユダヤ人共同墓地の墓石が倒される事件も相次いでいる。トンプソン容疑者は、JCCとADLのニューヨーク本部など8軒の施設に爆弾を仕掛けるという脅迫をした容疑で告訴された。
短期間ではあるが奇妙なトンプソン容疑者の記者としてのキャリアが、3日の逮捕で改めて注目された。彼は、多くの若手記者と同じように、「DNAinfoシカゴ」や 公共ラジオ放送NPR系列局ののWBEZなどでのインターンシップからキャリアをスタートさせ、「Talking Points Memo(トーキング・ポインツ・メモ)」などのメディアにフリーランスライターとして記事を投稿するようになった。
トンプソン容疑者は2014年11月、インターセプトに加わってから注目されるようになった。入社して数カ月後に、トンプソン容疑者はサウスカロライナ州チャールストンの教会で2015年6月17日に黒人の男女9人を殺害した銃乱射事件を起こしたディラン・ルーフ被告のいとこ、「スコット・ルーフ」という人物の発言を紹介した記事を執筆した。
しかし、ディラン・ルーフ被告にはスコットという親戚はいないことが明らかとなった。トンプソン容疑者は後に、インターセプトで面識もない人物の取材記事も書いていたことを白状した。
インターセプトがこうした捏造記事の調査結果を公表した後、トンプソン容疑者はハフィントンポストUS版に書簡を送っている。トンプソン容疑者は同じメールをインターセプトのリード編集長にも送ったと主張していたが、彼がリード編集長や他の記者に送ったのは違う内容だったとみられる。
トンプソン容疑者は、ハフィントンポストUS版に送ったメールの中で、彼が今も住んでいるとみられるセントルイスで精巣がんの治療を受けているとして、捏造で会社から非難されている件は、取材ノートがないので対応できないと主張していた。
トンプソン容疑者は、レポートする際に「不注意」があったことは認めたものの、捏造は否定した。インターセプトに対しては、「新人レポーター」の自分に十分な編集上の指導をしていないし、アフリカ系アメリカ人であることを理由に不当な扱いをされたと批判した。
トンプソン容疑者はその後も反抗的な態度を取り続けた。リバーフロント・タイムズに対しては、インターセプトの支援者でペイパルの共同設立者ピエール・オミディア氏に言及し、「億万長者の企業や、こうした連中の組織の前に俺は沈黙しないし、怯えもしない」と語っていた。
リバーフロント・タイムズのドイル・マーフィー記者に対しては、「彼らには誠実さがない。誤報だらけだし、歪曲している。インターセプトがどれほどアンチ黒人かを知っているからだ。俺の発言を載せても構わない。喜んで主張する」と話していた。
マーフィー記者は、インターセプトでの捏造以外にも、トンプソン容疑者の経歴についてまだ証明されていない主張を調べることにした。トンプソン容疑者の経歴を見ると、シカゴ大学法科大学院への入学を許可されたことや、大手出版社「ランダムハウス」のクラウン・パブリッシングで自伝を執筆、と書かれていた。
「ロースクールの件や出版契約についての主張に関しても、インターセプトのリサーチャーが情報源を見つけられなかった件と同じだった」と、マーフィー記者は結論づけた。「トンプソンは取材したのかもしれないが、現在彼らの所在地を特定することは困難だ。出版契約も破棄されたのかもしれない。彼はロースクールへの入学を認められたが、入学しなかったのかもしれない。しかしトンプソンの新たな現実の中では、正当な事実の裏付けがなくとも疑念がすべてを覆い隠してしまう」
トンプソン容疑者は当時、一貫性を欠いた記事や経歴について発言しなかったが、数カ月後、ブログプラットフォーム「ミディアム」に長い手記を公開した。彼は再び「インターセプト」での活動の正当性を主張し、白人優位のニュースの世界で黒人ジャーナリストとして活動する中、不当な扱いを受けたと批判した。
トンプソン容疑者はTwitter上で「白人ニュースメディア」――リベラルだとされているメディアも同様に――がドナルド・トランプ大統領の誕生を後押しし、彼らがアメリカの黒人に関する報道には無関心で軽視してきたと投稿している。
「トランプはアメリカの代表じゃない」とメディアは言った。くたばれニュースメディア。お前らのせいでこうなったんだ。
白人メディアは、トランプを利用してくそみたいなコンテンツの購読者を増やし、トランプの政策を支持するだろう。間違いない。
白人メディアは、せっせとナチにゴマをすっている。
この男は白人アメリカの有力な新聞の記者だ。白人ニュースメディア組織は人種差別主義のゴミだ。完全にゴミだ。
沿岸部メディアのリベラルは何もわかってない。こんな終わってる非生産的なものはやめちまえ。
ニューヨークとロサンゼルスのリベラル派のメディア複合体は、とんでもなく危険だ。こいつらは胸くそ悪いやつらだ。HBOとMSNBCからはさぞかしたっぷり金をもらってるんだろう。
白人メディアは醜悪だ。やつらが白人至上主義者と呼ぶ人間たちはメディアの回し者だ。本質的には、ヤツらはその目的を支持しているからだ。
ハフィントンポストUS版より翻訳・加筆しました。
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