福井県あわら市やパナソニックは2月24日、宅配ボックスの設置による労働時間や温室効果ガス削減の実証実験の中間報告を発表した。再配達が299回減ったほか、宅配に要する労働時間や二酸化炭素の排出を抑える効果があったとする結果が出た。
パナソニックなどによると、実証実験は、同市在住の共働き家庭など106世帯を対象に、2016年12月に開始。受取人の不在時に宅配物を保管できる「宅配ボックス」を自宅に設置し、モニターアンケートを実施している。
中間報告では、回答があった103世帯分を集計。2016年12月分と実験前の10月分の数字を比較し、再配達回数の減少率を調べたほか、再配達の減少に伴う宅配業者の労働時間や二酸化炭素排出量への影響値も算出した。
宅配ボックス設置前の2016年10月は、583回の宅配があり、そのうち49%に当たる285回が再配達だった。
一方12月は、宅配総数761回のうち、再配達は60回で、再配達率は8%に減少した。宅配ボックスで受け取ったため、再配達の手間を省けたのは299回だった。
労働時間に換算すると65.8時間で、二酸化炭素の排出量では約137.5キログラムを減らすことができたと結論付けた。国土交通省の調査報告書の数字に基づいて算出した。
実証実験は3月末まで実施し、4月中をめどに最終報告をまとめる。実験は日本郵便やヤマト運輸も協力しており、同市やパナソニックが調査結果を報告する。
宅配業界では、ネット通販の拡大などで宅配量の増え、ドライバー不足が問題になっている。宅配ボックスを使った実証実験の結果は、宅配業の労働環境改善への活用も期待される。
実証実験のPR会社は2月27日、ハフィントンポストの取材に対し「宅配ボックスにより再配達をかなり大幅に削減できた」と効果を強調。「宅配ボックスが広まることで、受け取り側が再配達の手配をしなくて済み、ストレス軽減になる」と期待した。宅配ボックスの普及によるドライバーの労働環境の改善については、「各業者で取り組むことだが、そのような効果も期待できるのでは」と話した。
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