バレンタインデー直前の2月12日、東京・渋谷では「非モテ(モテないこと)」を自称する人々が集結し、デモ行進で「バレンタインデー粉砕」を叫んだ。
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この「バレンタインデー粉砕デモ」は、恋愛感情を経済活動に結び付ける「恋愛資本主義」への反対を掲げる「革命的非モテ同盟(革非同)」が主催。
2006年の「クリスマス粉砕デモ」を皮切りに、バレンタインデー、ホワイトデー、クリスマスの粉砕を叫ぶデモ活動をほぼ毎年実施。革非同は「モテない人の明るい未来を築き上げるべく、非モテ同士の連帯を」と提唱している。
デモ隊は午後2時ごろ、渋谷・宮下公園を出発。約30分にわたって20人(主催者発表)ほどの参加者が渋谷の街を練り歩いた。
「もらったチョコの数で人間の価値を決めるな!」
「カップルは自己批判せよ!」
「リア充は爆発しろ!」
デモの参加者は、こうしたシュプレヒコールを叫んだ。また、「『(ホワイトデーの)3倍返し』は利息制限法違反だ!」「お菓子メーカーの陰謀に踊らされるな!」と警鐘を鳴らした。
渋谷に響いた非モテたちの叫びを聞いた沿道の人からは、「日本らしくて平和でいいね」「ほほえましい」と肯定的な声が聞こえた一方、「モテないのなら、モテる努力をすれば良いのに」と厳しい意見もあった。
今回のデモは日本のメディア以外にも、AFP通信やARD(ドイツ公共放送連盟) など海外メディアも取材していた。
■日本のバレンタインデーは「ジェンダー的な要素を過剰に押し付けている」
今回のデモにあたって、革非同の広報担当(代表代行)の秋元貴之氏(33)が報道陣の取材に応じた。
革非同の広報担当(代表代行)の秋元貴之氏
秋元氏は「クリスマス、バレンタインデー、ホワイトデーなどは恋愛に価値を見出さない人や非モテの人々を圧迫している。偏見を強くする社会に抵抗する」と、デモの目的を語った。
また秋元氏は、日本でのバレンタインデーの雰囲気が「ジェンダー的な要素を過剰に押し付けており、LGBTなどを含む性的マイノリティへの圧迫にもつながる。(親しい人に感謝の気持ちを伝える)バレンタインデー本来の形をゆがめている」と強く批判した。
参加者を前に、演説する秋元氏
その一方で、キリスト教の聖バレンティヌスに触れつつ、「我々は宗教的なヘイトを煽るつもりは全くない。我々の活動は、バレンタインを金儲けの道具にすることや、モテない人々を劣っていると見下す風潮への抗議だ」と述べた。
その上で、「女性からも『バレンタインデーはめんどくさい』という声も聞く。変化の兆しはあると思う。我々は長期的に戦う覚悟はできている」と、デモに対する決意を述べた。
デモに参加した40代の女性は、「義理チョコは廃止すべきだと思う。私は派遣社員だが、チョコの金銭的な負担も大きい」と話した。
デモ終了後、秋元氏は「バレンタインデーは粉砕された。まごうことなき大勝利だ」と明言。次回のデモ開催については「ホワイトデーもデモをやるかもしれない」と、さらなる活動の拡大を匂わせた。
なお、これまで実施したデモで先頭に立っていた革非同の革命評議会議長、マーク・ウォーター氏は「どうしても外せない用事」のため、この日は不参加だった。
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