トランプ 大統領は過ちを繰り返すのか? 日系人強制収容と闘ったコレマツの娘は警鐘を鳴らす

「私達にとって重要のは歴史の正しい側に立ち、過去の過ちを繰り返さないことです」

ドナルド・トランプ大統領により性急に実行された大統領令のために、先週末は混乱が続いた。7カ国からのイスラム教徒がアメリカの空港で勾留され、それ以外の多くの人々も入国を拒否され、アメリカ行きの飛行機に乗ることすらできなかった。

大統領令はイスラム教の名前を出すことなく、巧妙にイスラム教徒の入国を禁止するよう書かれていた(宗教を理由にすればアメリカ合衆国憲法修正第1条に明確に違反する)。アメリカ政府は1942年にも同じようなことをした。当時の大統領フランクリン・D・ルーズベルトは日本にルーツを持つアメリカ人を標的にした大統領令に署名したが、そこには日系アメリカ人とは特に書かれていなかった。

シアトル地区の日系アメリカ人が収容された後の写真。床屋のG.S.ハンテが「ジャップよ戻ってくるな。二度と!」のサインを指差している。第2次世界大戦下の体制は差別と搾取を助長した。

その大統領令により、12万人以上の日系人が「収容」された。その多くはアメリカ国民だった。当時23歳だったフレッド・コレマツは、抗議の声を挙げた数少ない人間の一人だった。彼は逮捕され、政府の命令を無視したとして有罪判決を受けた(判決は1983年に無効化された)。

2004年、コレマツは自身や同胞の日系アメリカ人が、何十年にも渡って展開してきた法廷闘争を振り返った(最高裁が、日系アメリカ人が政府が主張していたような脅威だったことは一度もなく、収容は不当だったとする判決を出したことを受け、1988年、議会はこれを認める法律を通過させた)。

マイノリティーの共同体に向けられる恐怖と偏見は簡単に呼び覚まされ、拡大する。それは往々にして、恐怖を煽った者の政治目標の達成に寄与する。フレッド・コレマツ

「マイノリティーの共同体に向けられる恐怖と偏見は簡単に呼び覚まされ、拡大する。それは往々にして、恐怖を煽った者の政治目標の達成に寄与する」と彼は書いた。「私はスケープゴートの対象になることがどんなことか知っている。また、政府により不当な疑いを事実とされてしまったとき、その汚名をすすぐことがどれほど難しいかも知っている」。

「スパイやテロリストは、彼らの取った行動により訴えられるべきだ。しかし、単に同じ人種、民族性、あるいは宗教という理由で、誰かがスパイやテロリストとして収監されるようなことがあってはならない。そういった原則を日系アメリカ人の収容から学んでいないのなら、今は民主主義にとって危険な時代だといえよう」。

ビル・クリントンによって大統領自由勲章が授与された7年後、コレマツは2005年に亡くなった。しかし、娘のカレンさんはサンフランシスコのフレッド・T・コレマツ協会で、その遺志を称えている。

1月30日はコレマツの98歳の誕生日だった(カリフォルニア州により、フレッド・コレマツの日として称えられている)。カレンさんに、トランプ大統領の大統領令について、父親がどう言うと思うか語ってもらった。以下は、彼女のEメールでの返信だ。

ビル・クリントン大統領によって1998年1月15日、フレッド・コレマツに大統領自由勲章が授与された。

ハフィントンポスト:先週末のトランプ大統領の大統領令に対し、あなたはどう反応しましたか? お父様ならどのように思われたでしょうか?

カレン:75年前の第二次世界大戦中、フランクリン・ルーズベルトは大統領令9066を発令しました。これにより、西海岸の全ての日系アメリカ人を立ち退かせ、集団で収容することが認められたのです。より詳細には、大統領令は陸軍長官と、彼に指名された軍のあらゆる指揮官が、「軍管理地域を指定し…それらの地域からあらゆる人間を立ち退かせることができる」としています。注目すべき点、そして今日と類似している点としては、大統領令は日系アメリカ人を名指ししていなかったことです。

私や多くのアメリカ国民が父の誕生日を祝ってくれる中で、私は大統領令の力を思い出された。私の父は正しいことのために立ち上がらなくてはならないと信じていました。私達にとって重要のは歴史の正しい側に立ち、過去の過ちを繰り返さないことです。

ハフィントンポスト:トランプ大統領の在任期間中、あなたのお父様の体験のうち、特に肝に銘じておくべきなのはどういったでしょうか?

カレン:父とアメリカ合衆国との裁判で、アメリカ政府はルーズベルト大統領の大統領令と日系アメリカ人の収容は、軍事的必要性に基づくものだと主張しました。コレマツに対する反対意見として、ロバート・ジャクソン判事は次のように表明しました。「原則となるのは、例えば装填された武器を権力が手にしていて、緊急事態に対処する合理的な必要性がある状態である」。40年後、軍事的な必要性などなかったとする書類が見つかりました。日系アメリカ人は集団収容を正当化するような反逆行為など行っていませんでした。アメリカ政府は合衆国最高裁判所とアメリカ国民に対し、事実でないことを伝えていたのです。

過去から学んだ教訓は、政府はとてつもない力を行使できること、そして指導者はそれを責任を持って使わなくてはならないことです。私たちは政府に責任を果たさせなければなりません。過去は序幕に過ぎず、現在、不正義が行われているなら、私の父の言葉を借りて言えば、私たちは「正しいことのために立ち上がらなくてはならない」のです。

テディ・ヨシカミはカリフォルニア州の日系アメリカ人キャンプで生まれた。彼女はトランプ大統領の大統領令は「欠点だらけ」と感じている。

テディ・ヨシカミはカリフォルニア州にあった、日系人収容所でも最大の施設、トゥーリーレイク戦争移住センターで生まれた。彼女はハフィントンポストに対し、トランプ大統領の大統領令は「欠点だらけ」で、彼には「学習能力」が著しく欠けていると憂慮している。

「躍動感溢れる多様な文化がアメリカを偉大にしてきた」とヨシカミは続けた。「どんな人々も、第2次世界大戦の日系人のような、スケープゴートになってはいけないんです!」

ハフィントンポストUS版に掲載された記事を翻訳しました。

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