「住宅支援は命づな」福島第一原発事故による自主避難者、支援継続を訴える

東京電力福島第一原発の事故で、避難指示区域以外から福島県外に避難した自主避難者と自主避難者の支援者らが1月17日、東京・有楽町の日本外国特派員協会で記者会見した。
Kei Yoshikawa

東京電力福島第一原発の事故で、避難指示区域以外から福島県外に避難した自主避難者と自主避難者の支援者らが1月17日、東京・有楽町の日本外国特派員協会で記者会見した。

福島県では避難指示区域に住んでいた人以外に、被ばくを避けるためなどの理由で多くの人が全国各地へ自主避難を続けている。その数は2015年10月時点で約1万3000世帯、2万5000人にのぼるとされる

福島県からの避難者は、発生直後に全県が災害救助法の適用となったため、避難指示区域内外を問わず、仮設住宅が無償提供されている。しかし、福島県は自主避難者への住宅支援を2017年3月末で打ち切るとの方針を発表。4月以降、現在の住まいから立ち退きを求められたり、新たに住宅を借りることで経済的負担が生じるケースが増加するとみられている。

こうした事態を受け、自主避難者を支援するフリーライターの吉田千亜氏は、「自主避難者には、離婚・いじめ・親しい人との別れなどの精神的な負担と、賠償がない中での避難生活による経済的負担がある」と説明。自主避難者にとって、「住宅支援は命綱のようなもの」とし、支援の継続を訴えた。吉田氏は2012年から原発事故で自主避難する母親たちの交流会を主宰。自主避難者の実態を追った『ルポ母子避難−消されゆく原発事故被害者』などの著書がある。

吉田千亜氏

福島県から神奈川県に自主避難している松本徳子氏は、「原発事故がなかったら自主避難する事はなかった。ローンを抱えながらの二重生活は6年になる」と語った。その上で、「住宅支援を受けているが、3月末で打ち切られようとしている。二重生活でさえ大変なのに、住宅支援がなくなれば私たちのような自主避難者は経済的に困窮してしまう」と語った。

松本徳子氏

■住宅支援打ち切りも、東京都などでは独自支援も

毎日新聞によると、福島を除く46都道府県のうち9道府県が、打ち切り後も住宅の無償提供や家賃などの補助策を実施するという。

東京都の小池百合子知事は2015年12月20日、福島県の内堀雅雄知事との会談で、都営住宅に優先枠を設けるなどの支援策を継続する考えを示した。

一方で、避難先によって自主避難者が受けられる支援に格差が生まれることも問題視されている。

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