インド・ベンガルールで大晦日、女性たちに集団暴行 治安の良いIT都市が恐怖に包まれる

女性にとっては、終わりのない恐怖の夜となった。

インド南部の都市ベンガルールで2016年の大晦日、新年を祝うために市内中心部に集まっていた女性たちが集団で性的暴行を受けたと訴えた。

こうした集団の性的暴行は、2013年8月にムンバイで取材中の女性カメラマンが集団レイプされた事件があるが、インド南部ではめずらしい。ベンガルールは、インドで犯罪の中心地として知られるデリーに比べ、女性にとって安全な街だという評価を誇っていた。

ベンガルールの新年イベントで、群衆に囲まれた女性を救出する男性たち

ベンガルールはカルナータカ州の州都で、インド有数のIT都市として知られる。2014年11月に旧名のバンガロールから改名した。

地元紙「ベンガルール・ミラー」は、新年の夜に実際に何が起こったのかを撮影した生々しい写真を掲載した。目撃者の証言や、その他の情報源から得た情報によると、数百人の男たちが、バイクや徒歩で、ブリゲードロードやMGロードなどの市の繁華街に出向き、酔っぱらい、お祭り騒ぎは手に負えない状態になった。警察は飲酒運転で500人近くを逮捕したが、現場で起こっていることは、さらに凄惨だったようだ。特に女性にとっては、終わりのない恐怖の夜となった。

市内のいたる所で、1人で外出していた女性や、友達や家族と一緒にいた女性が、声をかけられたり、からかわれたり、性的暴行を受けたり、嫌がらせを受けたりしたと訴えた。写真では、男の集団に追いかけられて女性が逃げ回る様子や、乱暴な集団が酩酊状態で通りに押し寄せ、女性を触ろうとしたり、下品な言葉を浴びせながらバイクを乗り回したりする様子、その中で女性が警察職員の助けを求めている様子が映し出されている。

警察は混乱の広がりを軽く見せようと、報告された被害の件数を挙げて過去の他の年と比較した。しかし被害の深刻さは明らかで、かつてはムンバイやデリーと比べて格段に安全だとされていたベンガルールの評判は汚されてしまった。

警察庁のプラビーン・スド副長官は、1月1日にベンガルールの警察署長に就任し、女性、子供、高齢者市民の安全を主に優先すると語った。「女性や子供たちが安心できない場所を文明社会と呼べるだろうか?」と、ベンガルール・ミラー紙のインタビューで語った。

ベンガルールでは2016年、女性に対する犯罪件数が増加していた。12月には、弁護士のジョティ・クマリ(27)さんがストーカーのB・マドゥ容疑者に殺害されたと報じられた。この容疑者は4年間にわたってストーカー行為をしていた。クマリさんはマドゥ容疑者から暴行を受けたことがあり、自転車も盗まれていた。しかし彼は“厳しい警告”をを受けただけで、調書をとられることもなく、警察から釈放されていた。

インドでは、女性に対する犯罪の訴えには、なかなか耳を傾けてもらえない。警察は今回の事件の数日前にも、「警察が街の隅々までパトロールするのは不可能で、自身の安全を守る責任は女性側にもある」と言っていた。また、カルナータカ州のジー・パラメシュワラ内相は、「女性が西洋人のマネをしているから騒動が起きるし、女性の一部は襲われる。よく起こるものだ」と発言している

ハフィントンポスト・インド版より翻訳・加筆しました。

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