イギリス・バーミンガムの中心地ウィンソン・グリーンにある刑務所で12月16日、暴動が発生し、一時囚人が刑務所棟を占拠した。約600人の囚人が刑務所内の施設を破壊そたが、12時間後に鎮圧された。
イギリスで3番目に大きな刑務所で起きた暴動の最中、囚人たちは自分たちの荒れ狂う様子を自撮りした画像を何枚もSNSに投稿した。
法務省は、16日朝に起きた暴動が、午後10時30分までに4つの刑務所棟すべてが鎮圧されたことを確認した。
16日夕方、市の中心部からわずか3キロしか離れていないバーミンガム刑務所に夕暮れが訪れるころ、建物の上に煙が立ち上っていくのが見えた。
暴動の最中にバーミンガム刑務所から立ち上る煙
囚人たちが看守らに対して暴動を起こしたのは午前9時過ぎ。電灯を割り、消火ホースをひっぱり出し、使用済みの注射器を武器として振り回して暴れたという。
看守らは刑務所を封鎖しようとしたが失敗し、午前中には2つの棟が囚人たちの手に落ちた。暴動に加わった囚人たちの数は600人ほどだったと言われる。
ネット上に投稿された、暴動鎮圧用の服を着て笑う2人の囚人
受刑者たちは、階段の踊り場やなど自分たちが暴れる姿をSNSに投稿し続けた。彼らの多くは暴動鎮圧用の服を着た姿で写っている。
1人の囚人がヘルメットをかぶり、刑務所内で斧を振りかざしている
いくつかの写真は、投稿後まもなく削除された。
「バーミンガム刑務所。暴動だ、犯罪者たちによる乗っ取りだ」というメッセージもあったという。
受刑者が看守から奪ったらしい鍵束を持っている写真もある。
受刑者が看守から奪ったとみられる鍵束を持っている
BBCによると、囚人の1人が暴動中に顎と眼底を骨折し、病院に運ばれたとは報道した。
刑務所事情に詳しいブロガーのアレックス・キャベンディッシュ氏はイギリスのPA通信に、「内部の人間から、『暴動は電灯を割ったり、消火ホースを引っ張り出したところから始まった』と聞いた」と証言した。
「看守たちは規則通り、できるだけたくさんの囚人たちをそれぞれの監獄に閉じ込めようとしました」と、キャベンディッシュ氏は語った。
棟内部が破壊された様子
「ある看守は、囚人を監獄に入れようとしているときに、使用済みの注射器のようなもので脅されました。そこに、別の囚人が後ろからやってきて看守のベルトから鍵束を取り上げ、安全チェーンを外したのです」
鍵が囚人の手に渡った場合には、看守たちは規則に従って「安全な場所まで退避」し、「その棟を放棄する」ことになっており、そこから暴動が始まった、と彼は語った。
バーミンガム刑務所内部の混乱した様子はSNS上に公開された
暴動が起きている間、暴徒たちと話していた記者の1人は「デイリー・メール」に「囚人たちは運動施設を占拠し、次に医療施設も占拠しようとしている」と語った。
「N棟とP棟は囚人たちの手に落ちました。彼らはG棟に迫っていて、そこには主に性犯罪者のような比較的おとなしい囚人たちがいます。彼らがG棟に侵入すればさらに暴動は激しくなり、今夜中に死者も出るでしょう」
キャベンディッシュ氏は「さらに囚人たちは管理棟(OMU)にも侵入し、そこに保管されていた彼らの犯罪記録を燃やしました」と語った。
キャベンディッシュ氏によると、その後囚人たちは刑務所に入ろうとする暴動鎮圧の部隊に対して、ペンキをぶちまけたとツイートした。
「バーミンガム刑務所。暴れ狂う囚人たちがヘルメットをかぶってトルネードチーム(暴動鎮圧部隊)にペンキをぶっかけている。消火ホースまで使っている。カオスだ」
刑務所を鎮圧した警察の部隊
「重傷を負った犠牲者(囚人)がいると聞いています。囚人たちは管理棟(OMU)の窓からコンピュータを投げ捨て、彼らの犯罪記録を消そうとしています」と、キャベンディッシュ氏は付け加えた。
暴動が収まった後、刑務所知事会(PGA)の報道担当官は「これは表面的に見れば、公的機関による刑務所運営が抱えているのと同じ問題が、今や民間運営でも同じように影響を与えていることを意味する。公的か民間を問わず、権威に対する軽視や無視が徐々に大きく育ち、受刑者たちを煽っているのです」
「この暴動が、公的機関が運営する刑務所の人材レベルによるものではない、あるいは刑務所の問題ではないと言える証拠だと単純に片づけてしまうことはできないのです」
1849年に建てられたバーミンガム刑務所B棟は、1450人の男性成人受刑者と再拘留者を収容できる。
ハフィントンポストUK版より翻訳・加筆しました。
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