フランスのオークションハウスが、イタリアの巨匠レオナルド・ダ・ヴィンチの未公開作品を発見したと発表した。この写真の作品は、聖セバスティアヌスを描いたもの
フランスのオークションハウス「タジャン」は12月12日、イタリア・ルネッサンス期の巨匠レオナルド・ダ・ヴィンチの手による、長らく埋もれていた作品を発見したと発表した。
ニューヨークタイムズによると、この聖セバスティアヌスを描いた作品は、2016年3月、ある引退した元医師が、父親が額に入れず収集していた14枚の中の1枚として持ち込んできたという。パリの「タジャン・オークションハウス」に持ち込まれたもので、ニューヨークのメトロポリタン美術館の学芸員を含む、複数の専門家によって鑑定を受け真作と認定された。
メトロポリタン美術館は声明文で、この作品を「世紀の大発見」と評した。鑑定人を務めたのはイタリアとスペインの学芸員カルメン・C・バンバック博士で、ダ・ヴィンチの専門家としても世界的に有名な人物だ。
「この世紀の大発見は、巨匠ダ・ヴィンチ(1452-1519)作による両面作品だが、表面には風景を背景にして殉教者聖セバスティアヌスが木に磔になった姿が描かれ、裏面には光と影に関する注と略図が書いてある。これはダ・ヴィンチが光学を研究していた事実と関係するものだ」と、メトロポリタン美術館は声明文で説明している。
作品の裏面には科学的なスケッチ2つと、右から左向きに書かれた注が描かれている。これはダ・ヴィンチならではの書き方だ。
タジャン・オークションハウスで古典絵画の責任者を務めるタデ・プラート氏はニューヨークタイムズの取材に、この謎に包まれた作品の価値は1580万ドル(約18億1900万円)と見積もられている。
プラート氏は、作品のサイズはおおよそ縦19センチ、横13センチで、「興味深い16世紀の作だと直感し、さらなる調査が必要だと思いました」という。また、古典作品の鑑定を行っているパトリック・ド・ビゼール氏にセカンドオピニオンを求めた。
ニューヨークタイムズによると、ド・ビゼール氏の専門的見解が加わって、2人はドローイングを描いたのは左利きの画家だと発見という。ダ・ヴィンチも左利きであった。裏面には科学的なスケッチと右から左方向に書いた注があり、これはダ・ヴィンチ作品の特徴である。
ダ・ヴィンチ作の聖セバスティアヌスを描写したもう一つの作品。ダ・ヴィンチは聖セバスティアヌスの作品を少なくとも8枚描いたとみられる
ダ・ヴィンチの「アトランティコ手稿」には1000ページを超える作品が収められているが、タジャン・オークションハウスによると、聖セバスティアヌスを8枚描いたとの記述があるという。2003年には、バンバック博士は8枚の作品を再現した展覧会を開き、ダ・ヴィンチの失われた未完の油絵がどのような構成であったのか世の中に伝えようとした。彼女はニューヨークタイムズに「目玉が飛び出てしまった」と語っている。
バンバック博士は、今回発見された作品が他の聖セバスティアヌスのスケッチ集の一部であると述べた。木に磔になった聖人の描写だけでなく、裏面にスケッチが描かれ、手書きの注の筆跡が一致し、「間違いなく本物だ」だという。
この作品が引退した元医師の手に渡った経緯は不明なままだ。この匿名の元持ち主が語ったところによると、20世紀初頭から代々受け継がれてきたものだったらしい。
ダ・ヴィンチの作品が今回以前に発見されたのは2000年のことだ。こん棒をもったヘラクレスを描写した作品は現在、メトロポリタン美術館が所蔵している。
タジャン・オークションハウスの広報はFOXニュースに、今回の聖セバスティアヌスの作品は2017年6月にオークションにかけることになると語った。
ハフィントンポストUS版より翻訳・加筆しました。
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