イタリアで12月4日(現地時間)、上院の権限を大幅に縮小する憲法改正の是非を問う国民投票が投開票され、イタリア公共放送・RAIの出口調査では反対派が54〜58%と優勢が伝えられた。レンツィ首相は5日未明、「結果を受けて責任を取る」と辞意を表明した。BBCなどが報じた。
改正案は、上下院のねじれが生じやすい今の仕組みを改めることがねらいで、上院の定数を315人から100人に削減するとともに、原則として下院の承認だけで政府を信任し、法案を可決できるようにするなどの内容だ。
レンツィ首相はこの国民投票について、民主主義を変えるためではなく、国内の政治を簡素化することが目的だと強調していたが、反対派は改正案は国民から国の代表を選ぶ権利を取り上げ、権力を議会からレンツィ首相の元に集中させるものだと批判していた。レンツィ首相は今回の国民投票の結果が「反対」なら、辞任する意向だとしており、イタリア国内では事実上の政権への信任投票と受け止められていた。
■結果が「反対」ならどうなる?
今回の国民投票の結果が「反対」ならどうなるのか? ハフィントンポスト・イタリア版は新興ポピュリズム政党「五つ星運動」が政権の座に就く可能性があると分析。一部で言われている「Brexit(ブレグジット、イギリスのEU離脱)」ならぬ「Italexit(イタレグジット)」に発展する可能性があると解説する。
五つ星運動は、政治風刺が持ち味のコメディアン、ベッペ・グリッロ氏が2009年に創設。インターネットによる直接民主主義やEU離脱を主張している。2013年の総選挙で大躍進を果たし、与党・民主党(PD)に続く第2党に。2016年6月には、同党が擁立したローマとトリノの市長選で勝利した。
イタリアの総選挙は2018年2月に予定されているが、五つ星運動は今回の国民投票について「否決なら即時選挙」と要求。レンツィ氏の辞意表明後すぐに選挙を行うべきだと訴えている。
一方で、マッタレッラ大統領は混乱を回避するため、レンツィ内閣の閣僚を首相とする選挙管理内閣を検討しているとされる。