フランスの最大野党「共和党」は11月27日、2017年春の大統領選の中道・右派陣営の統一候補としてフランソワ・フィヨン元首相(62)を選出した。ハフィントンポスト・フランス版などが伝えた。
中道・右派陣営は20日に第1回予備選を実施し、得票率1位のフィヨン氏(62)と2位のアラン・ジュペ元首相(71)が27日の決戦投票で一騎打ちで争った。ハフィントンポスト・フランス版によると、決選投票の得票率はフィヨン元首相(62)が66.5%、ジュペ元首相が33.5%となり、フィヨン氏が大差で決選投票を制した。
フィヨン氏はサルコジ政権で首相を務め、予備選ではサルコジ氏とジュペ氏の中間の立場から支持を集めた。加えて、第1回予備選で3位だったニコラ・サルコジ元大統領の支持を受け、決選投票を優位に進めた。
■フィヨン氏「私たちの国を守りたいと願う、全ての人に手を差しのべたい」
フィヨン氏は、「私たちの国を守りたいと願う、全ての人に手を差しのべたい。フランスの価値を守り、多様な人々と分かち合いたい」と語り、大統領選への決意を表明した。集まった支持者からは「フィヨン!」「大統領!」の歓声があがった。
その上で、「左派陣営の政策は失敗しており、極右は破綻している」と述べ、大統領選での支持を国民に訴えた。
敗れたジュペ元首相も、「今夜から、私はフィヨン氏をサポートする」と大統領選挙での協力を表明した。
■大統領選では極右政党「国民戦線」のルペン氏と対決か
フランスではテロや景気の低迷で、左派「社会党」を率いるオランド大統領の支持率は10%台に低下。左派陣営は厳しい選挙戦になりそうだ。
社会党は2017年1月に左派統一候補を選ぶ予備選を実施する予定で、オランド大統領が再選されるか、出馬がささやかれるバルス首相がどう動くかなどに注目が集まる。
一方でロイターは、「世論調査では左派が2017年の大統領選で決選投票に進むことはない」と分析。そのためフィヨン氏は、極右政党「国民戦線」のマリーヌ・ルペン党首と大統領の椅子を争う事になりそうだ。
「国民戦線」のマリーヌ・ルペン党首
■サルコジ政権では首相、保守政治家フランソワ・フィヨン氏とは
フィヨン氏はフランス西部ルマン出身の62歳。地元国民議会議員のスタッフを経て政界に進出した。
シラク政権では社会問題相、教育相を歴任。サルコジ政権では2007年から首相を5年間務めた。政治的立場もサルコジ氏同様、右寄りのやや強硬な立場だ。法人税の引き下げや企業への支援を通じて経済の再生を目指す一方、同性カップルの権利を制限するなど、保守的な公約を掲げている。
朝日新聞(2007年5月18日朝刊)によると、ジョギングや山歩きを愛し、クラシックカーでレースにも参加するという。