都内の多摩美術大学・八王子キャンパスで開かれた学園祭「芸術祭」で11月6日、同大学の佐野研二郎教授が存命中にも関わらず、葬儀と称するパフォーマンスが実施された。当時の状況を目撃した漫画家の男性がハフィントンポストの取材に対して、佐野研二郎氏をとりまく社会風潮に対する「ブラックジョークだな」と感じたとコメントした。
イベントの模様を目撃した漫画家の男性がTwitterに投稿した写真より
男性のコメントは以下の通り。
■「佐野研を笑ってたやつら忘れないからな」と言っていた
通りすがりにみただけであまり詳しくは知らないのですが。大学構内の大通りを歩いていたところ、正面から隊列を組んで歩いてきていました。
正面から僧侶、遺影を持った人、棺を持った人、オリンピックのエンブレムの旗を掲げていた人といった感じでした。
演技がかった泣いた仕草をしながら『佐野研を笑ってたやつら忘れないからな』などと言っていました。
横には美大の文化祭のスタッフが随行しており、特にトラブルはなかったようです。同美大の卒業生の友人と行きましたが、メンバーの中に知り合いは特におりませんでした。
オリンピックのエンブレム問題以降、多摩美生であるというだけで、ネット上でいわれもない中傷を受けたりなどしていたようで(友人もいろいろと言われていたようです)溜まっていたものがあったのではないかなと思います。
個人的には、『佐野研を笑ってたやつら忘れないからな』というセリフからも、みんながやってるなら、気に入らないやつはどれだけたたいても、社会的に殺しても大丈夫、という風潮のある社会に対する皮肉を表現しているブラックジョークだな、と受け取りました。
また、去年の文化祭のときも、エンブレム問題のときに、エンブレムをたたいていた人と、擁護していた人をリストにしたアート作品なども展示されていたりして、元から社会風刺的な作品を作る土壌もあったのではないかなと思います。
周りは唖然としている人が多かったようですが、大爆笑していた人もいました。
■佐野研二郎氏とは?
佐野氏は、2020年東京オリンピックのエンブレムをデザインしたが、2015年7月の発表直後からネット上で「盗用」と批判され、わずか一カ月強で白紙撤回した。母校の多摩美術大学で2014年から統合デザイン学科の教授を務めている。
実際には佐野氏は亡くなっておらず、「葬儀」もパフォーマンスと見られている。大学側と芸術祭実行委員会は「許可したイベントではなくゲリラ的に行われた」としており、詳細を調査している。