2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向け、厚生労働省は他人のたばこの煙を吸わされる「受動喫煙防止策」として病院や学校などを全面禁煙とし、飲食店は分煙以上とすることを義務付けた罰則を伴う対策案を公表した。NHKニュースは次のように報じた。
厚生労働省は、不特定多数の人が出入りする施設を中心に、喫煙を規制する方向で本格的な検討を始めました。具体的には、飲食店やホテルなどのサービス業の施設の建物内や、駅や空港などは原則禁煙とし、壁などで完全に仕切られたスペースに限って喫煙を認めるとしています。また、官公庁や競技場、それに社会福祉施設は、建物内を完全に禁煙にするほか、医療機関や学校は建物内だけでなく敷地内をすべて禁煙にするということです。
違反した場合は施設の管理者などに罰金を科す方向で、関係省庁と協議を進めるということで、厚生労働省は、早ければ来年の通常国会に必要な法案を提出したいとしています。
(厚労省 建物内の喫煙 罰則付きの規制を検討 | NHKニュースより 2016/10/13 05:13)
塩崎恭久厚労相は14日の閣議の後、この対策案について「WHO(世界保健機関)の報告では、日本の受動喫煙防止対策は世界でも最低レベルと言われているわけであります。また、罰則を伴う受動喫煙防止対策をオリンピック開催国はみんなやっているわけです。そういう諸外国の常識を考えて、スモークフリー社会に向けて歴史的な第一歩を日本も踏み出さないといけないという認識で、厚生労働省案を取りまとめたということであります」と説明した。
受動喫煙防止対策について、国際的には公共施設や飲食店など屋内の公共の場で禁煙を義務づけるのが主流で、WHOの統計によれば、2014年時点で49カ国が何らかの法規制を定めている。しかし日本では、2003年施行の健康増進法で受動喫煙対策は「努力義務」にとどまっている。
朝日新聞は16日の社説で、対策案について「簡易な仕切りでは煙は流れ出る。長い年月を過ごす職場の対策が不足すれば、他の施設の対策は台なしだ。気密性が高くても飲食店などで従業員が掃除で出入りすれば煙にさらされる。国民の健康を最優先に考え、政府は屋内全面禁煙の範囲をできるだけ広げるべきである」と訴えている。
この対策案については自民党からも反発が出ている。またネット上では賛否の声が挙げられている。いくつか紹介する。
▼画像集が開きます▼
【※】スライドショーが表示されない場合は、こちらへ。