10月6日の参院予算委員会で、国会議員が同僚議員の政治資金パーティーの会費を支払う際に、パーティーを主催した議員側が白紙の領収書を発行し、参加した議員側が日付・宛名・金額を自分で書き込むことが常態化している実態が明らかになった。
共産党の小池晃・書記局長は、稲田朋美防衛相の政治資金収支報告書に添付された領収書を調べたところ、「筆跡鑑定の結果、数字、金額はすべて同一人物の記載であると分かった」と説明。菅義偉官房長官と高市早苗総務相にも同様の事例が見つかったとし、「白紙の領収書に自ら書き込んだのではないか」と追及した。
稲田防衛相(左)と共産党の小池書記局長
■稲田氏「面識あれば、参加者が領収書を書く」 小池氏「そんな領収書は通用しない」
小池氏は稲田氏と菅氏の収支報告書に添付されたパーティー支出の領収書を調査。その結果、同一人物が記入したとみられる領収書が、菅氏は約270枚(1875万円分)、稲田氏は約260枚(520万円分)存在すると指摘した。
稲田氏は「稲田側で日付宛名および金額を記述したものが存在しており、御指摘になったとおり」と小池氏の指摘を認めたが、「数百人規模が参加するパーティーで、祝儀袋を開封して確認した上で宛先や金額を記載すると、受付が混乱するとパーティーの運営に支障が生じる」と釈明に追われた。その上で稲田氏は、「互いに面識のある主催者と参加者の間では主催者側の了解のもと、参加者側が記載することがしばしば行われている」と弁明した。
小池氏は「架空の支払いでないことを証明するのが領収書。みんながやっているからいいんでしょって、子供の言い訳。領収書の要件を満たしてないのでは」「今聞いている中小企業の社長さんたちみんなびっくりですよ。そんな領収書が通用するわけない。こんな馬鹿な話はない」と批判した。
■菅氏「領収書の作成法について規定はない」
菅氏も、自民党議員の政治資金パーティーで会費を支払った際、白紙の領収書を受け取り「菅事務所で日付、宛名、金額を記したものが存在する」と認めた。その一方で、「政治資金規正法上、政治団体が徴収する領収書に際して発行者側の作成法についての規定はない」とし、法的な問題はないと釈明した。金額の水増しについては否定した。
政治資金規正法を所管する高市早苗総務相は「領収書作成方法は法律で規定されておらず、パーティー主催者から了解を得ていれば法律上の問題は生じない」との見解を示したが、小池氏は「政治資金規正法は抜け穴だらけだ」と批判した。