【真田丸】大泉洋、信之の 「幸」の字への思いを語る

信之には気の毒だが、彼の真剣な姿におかしみと愛しさを感じ、応援せずにはいられないのも、俳優・大泉洋の演技力あってこそ。
時事通信社

【真田丸】大泉洋、史上最も愛される信之に 「幸」の字をめぐる思い

NHKで放送中の大河ドラマ『真田丸』(毎週日曜 後8:00 総合ほか)では25日放送の第38回で真田昌幸(草刈正雄)が死去。巷では、昌幸ロスが広がるなか、昌幸の嫡男・真田信幸(信之)役の大泉洋も「犬伏の別れ(第35回)が信繁役の堺雅人さん、昌幸役の草刈さんと3人で撮影する最後のシーンになるなんてね。3人で酒を酌み交わしながら和気あいあいと話すラストシーンは非常に良くて、演じていてとても楽しかったです」としみじみ振り返った。

犬伏で別れた親子は、関が原の戦いで昌幸と信繁は石田三成(山本耕史)の西軍に、信幸は徳川家康(内野聖陽)の東軍に加勢。西軍敗北により徳川に降伏した昌幸と信繁は、信幸と本多忠勝(藤岡弘、)による家康への必死の助命嘆願により、高野山への流罪となった(第37回)。

「犬伏の別れでの信幸が信繁に言ったせりふがすばらしくて。『我らは決して敵味方に分かれるのではない。豊臣が勝った時は、お前は、あらゆる手を使って、俺を助けよ。そして、もし徳川が勝ったならば、俺はどんな手を使っても、お前と父上を助けてみせる』。このせりふがあって、演じる身としても2人を助けるんだという思いがさらに強まり、家康に命乞いをするシーンはすごく気持ちが入りました」。

2人の命を助ける代わりに家康が信幸に命じたのは“改名”だった。

「家康から『父親と縁を切れ』と言われるのは、『当たり前』だと予想をしていたでしょうが、名前を変えさせられるとは思っていなかっただろうと、演じていて感じました。父上からいただき、大事にしていた『幸』の字を捨てろと命じられるのは、非常に屈辱的な思いがあったと思います。一方で、自分の名前を変えてでも『真田を守る』という決意を固くする。悔しかったけど、より腹が決まった場面でしたね」。

こうした兄の苦労を、紀州の九度山で幽閉の身となった昌幸と信繁は知らない。後に「信之」からの手紙で名前を変えたことを知って(第38回)、昌幸は「わしが与えた『幸』の字を捨ておった。まあ、名前などどうでも良い」と言い捨てた後、信繁に「源三郎(信幸)が捨てた『幸』の字をもらってくれないか」と託す。この「幸」の字をめぐる親子3人のやりとりが、後世に伝わる「真田幸村」の名前の誕生にどうつながっていくのか、楽しみだ。

それはさておき、生真面目な性格ゆえに、父・昌幸に振り回され、室賀正武(西村雅彦)には「黙れ小童!」となじられ、前妻のこう(長野里美)と正室の稲(吉田羊)の板挟みにあい、家康のご機嫌もとらなければならない“お兄ちゃん”の苦労はまだまだ続く。

「昨年は連続テレビ小説『まれ』でダメ親父を演じたせいか、『しっかりしろ』と声をかけられましたが、最近は『かわいそうなお兄ちゃん』と、ずいぶん同情されるようになりました(笑)」。

信之には気の毒だが、彼の真剣な姿におかしみと愛しさを感じ、応援せずにはいられないのも、俳優・大泉洋の演技力あってこそ。大泉自身も「僕が演じているせいか、作者の三谷幸喜さんが信幸をコミカルに描くところがあるんです。なので、面白くなりすぎないように、気をつけて演じています。『信濃の獅子』と言われたかっこいい信之を期待されていた方には、申し訳ないという思いがありますけれど、『真田丸』の信之はドラマ史上最も親しみやすい、愛される信之さんになるんじゃないでしょうか」と、話した。

10月2日放送の第39回「歳月」では、九度山での暮らしにすっかり慣れた信繁のもとに謎の人物が突然現れ、信繁を「迎えに来た」と告げる。

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