安倍晋三首相が9月26日の衆院本会議で行った所信表明演説で、自衛隊、海上保安庁、警察をたたえた際、安倍氏に促された自民党の議員たちが一斉に立ち上がって手をたたき続けたため、約10秒間、演説が中断する場面があった。大島理森議長は「ご着席下さい」と議員らを注意した。日刊スポーツなどが報じた。
まず最初に拍手が起きたのは、首相が外交関係に言及した部分。首相が「わが国の領土、領海、領空は断固として守り抜く。強い決意をもって守り抜くことをお誓い申し上げます」と述べると、自民党議員がいっせいに手をたたいた。
その上で、首相が「現場では夜を徹して、今この瞬間も、海上保安庁、警察、自衛隊員の諸君が任務に当たっています」と言及。「彼らに対し、今この場所から、心からの敬意を示そうではありませんか」と述べ、演説を中断して自ら拍手を始めた。すると、自民党議員も起立して手をたたき、演説は20秒近く「中断」した。
(安倍首相が演説中拍手促す、野党側「何やってんだ」 - 社会 : 日刊スポーツより 2016/09/26 22:31)
衆院本会議で所信表明演説をする安倍晋三首相(右)。左は演説で自衛隊などに拍手を求められ、起立して拍手する与党議員=26日、東京・国会内
これに関し、民進党幹部は本会議後に「品がない。国会のルールを無視した最悪のパフォーマンス」と批判。日本維新の会の馬場伸幸幹事長は記者団に「異常で、異様な光景だ」と懸念を示した。共産党幹部も「二十数年国会にいるが、ああいう光景は初めて見た。気持ち悪い」と語った。
また、生活の党の小沢一郎代表は「異様な光景だ。今までも日本の議会では見られないと思うし、北朝鮮か中国共産党大会みたいなアレで、ちょっとますます不安に感じた」と語った。
首相が呼び掛けたとはいえ、演説中の行為としては極めて異例。野党側は議事の妨げになりかねないと問題視しており、27日以降の議院運営委員会理事会で協議する。
一方、自民党の二階俊博幹事長は記者会見で「演説に手をたたいたり、やじが飛んだりということはよくある。(野党が)あの程度のことをやっても、われわれは抗議しない」と述べ、問題視しない姿勢を示した。
衆院本会議で所信表明演説をする安倍晋三首相(右)。左は、安倍首相が演説中に自民党議員が立ち上がって拍手した件で、協議する与野党の議院運営委員会理事ら=26日、東京・国会内
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