米ディズニーが販売するハロウィンコスチュームに、ニュージーランドの先住民マオリ族が抗議の声をあげている。マオリ族が名を連ねるマオリ党のマラマ・フォックス氏は、「他者の文化の信仰や歴史を食い物にして、利益を得ようとしている」と批判した。9月18日、現地メディアのStuffなどが報じた。
マオリ族の人権擁護活動をするカライティアナ・タイウル氏は、「(マオリの)タトゥーは神聖で、身につける人にとって唯一のものです。それはアイデンティティーであり、家族の起源や個人の功績、歴史を象徴するものなのです。ですから、それをコスチュームとして着るというのは、よくないことなのです」と説明。コスチュームについて、「死んだ人から洋服を剥ぎ取り、それを身に着けているような、奪った宝石を身に着けているようなことです」と指摘した。
さらに、タイウル氏は「子供たちが、こうした衣装を着ても良いと考えないか心配です。文化的な問題があると考える親なら、製品をボイコットしてほしい」と述べた。
コスチュームについては、ネットからも多くの批判が出ている。
親愛なるディズニー様。私たちの褐色の肌は、コスチュームではありません。そのガラクタを取り去ってください。褐色の肌の太平洋の住民より。敬具
私は『モアナと伝説の海』をとても期待していますし、マウイ族は本当にカッコいいと思いますが、肌は衣装ではありません。
また、ニュージーランドの人権団体は、「太平洋じゅうのポリネシア系の人々が、このコスチュームについて声を上げています。彼らの声は重要だ。私たちはディズニー社がこれらの声に耳を傾けることを希望します」などと抗議した。
一方で、映画のキャラクターの話だとして、この議論を静観する向きもある。
ディズニーのコスチュームはキャラクターを表現しているだけだ。アニメであって、ドキュメンタリーではない
『モアナと伝説の海』はディズニーアニメ史上初めてポリネシア系女性を主人公とした海洋冒険作品で、島長の娘モアナがマウイと共に、伝説の石を秘密の場所に運ぶための旅に出るという内容。『リトル・マーメイド』『アラジン』『アナと雪の女王』のロン・クレメンツ&ジョン・マスカーが監督を務める。