韓国が配備を決めたアメリカの対北朝鮮ミサイル迎撃システムに、中国が首脳会談で強い不満を表明した。
中国・杭州のG20首脳会議に合わせて、中国の習近平主席と韓国の朴槿恵大統領が9月5日に会談した。会談では、米韓両国が在韓米軍に配備を決めた高高度迎撃ミサイルシステム(THAAD)について、厳しいやりとりが交わされたとみられる。
中国の国営新華社通信によると、習主席は「この問題(THAAD)の処理を間違えば、地域の戦略的安定に助けにならず、紛争を激化させる可能性がある」と憂慮を表明した。
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これに対し朴大統領は「北朝鮮のミサイルへの対応手段としてのみ配置するものであり、第三国の安全保障を侵害する理由も、必要もない」と述べ、理解を求めたが、議論は平行線をたどったとみられる。
アメリカのミサイル迎撃システムを韓国内に配備することを巡って、中国はかねてから強い不満を表明しており、8月6日には中国で人気のある韓国俳優の交流イベントが北京で直前に無期延期となるなど、中国への経済依存を深める韓国への報復とみられる動きが出ていた。
最近の中韓首脳会談では、強まる経済関係を背景に両国の「蜜月関係」をアピールしていただけに、今回はTHAADを巡る関係冷却を強く印象づける会談となった。
■北朝鮮は弾道ミサイル3発発射
一方、北朝鮮は9月5日午後、弾道ミサイル3発を発射した。韓国軍合同参謀本部が発表した。
北朝鮮は9月9日が建国の記念日にあたるほか、THAAD配備問題を巡って、中韓首脳会談に合わせて両国への牽制を狙った可能性がある。
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発表によると5日午後0時14分ごろ、北朝鮮北西部の黄州(ファンジュ)付近から、「ノドン」とみられる弾道ミサイル3発を発射した。