リオデジャネイロ・オリンピック競泳男子800メートルリレーで金メダルを獲得したアメリカのライアン・ロクテら4人が、「リオで拳銃のようなものを持った警察を装う集団に強盗被害に遭った」と訴えていたが、チームメイト2人が「証言は捏造だった」と警察に伝えた。AP通信などが報じた。
ロクテのほか、グンナー・ベンツ、ジャック・コンガー、ジェイムス・ファーゲン競泳選手4人は、タクシーで選手村に戻る途中、拳銃強盗に襲われ財布を奪われたと証言していた。
ABCニュースによると、18日にブラジルの地元メディアの情報として、選手らの証言は虚偽であり、事件当日の夜に選手の1人がガソリンスタンドの警備員とトラブルになり、トイレを破壊する様子が映っていたと伝えた。
ブラジルのメディア:#ライアン・ロクテと競泳選手3人が強盗被害を捏造。競泳選手がガソリンスタンドの警備員と「トラブルになって」いる姿を動画が映し出す
ブラジル警察、「アメリカ人競泳選手」がガソリンスタンドのトイレを破壊し、警備員とトラブルになっている姿を捉えた動画があると@ABCに伝える
■ガソリンスタンドのトイレを破壊、壁に放尿も
選手らは西部バーラ地区にあるガソリンスタンドのトイレのドアを破壊。これを受けて警察が出動した。ガソリンスタンドのオーナーはブラジルの大手紙「オグローボ」の取材に対し、「競泳選手らがガソリンスタンド敷地内の側壁に放尿し、さらには選手の1人が尻を出した映像を確認した」と述べた。オーナーによると、ガソリンスタンドのスタッフがトイレの場所を教えたにもかかわらず、競泳選手らが壁に放尿してしまったという。オーナーは、この事件を「紛れもない破壊行為」と呼んだ。
■ブラジル警察「4人全員が責任を問われる可能性
事件に関与した競泳代表選手のうちの2人、ジャック・コンガーとグンナー・ベンツは17日夜、アメリカ行きの旅客機内でブラジル警察当局に身柄を拘束された。AP通信によると、「証言は捏造されたものだった」と話している。
ブラジルの裁判所は17日、ロクテとファーゲンのパスポートの押収を命じたが、ロクテはすでにアメリカに帰国している。
ロイターによると、リオデジャネイロ州文民警察のベローゾ長官は、4人を器物損壊と偽証で訴追することも検討していると会見で語った。
「法律上は、偽証罪と器物損壊罪で1人、あるいは2人、あるいは4人全員が責任を問われる可能性がある。選手たちが証言したような強盗はなかった」
「3人のアメリカオリンピック競泳選手(グンナー・ベンツ、ジャック・コンガー、ジェイムス・ファーゲン)は捜査に協力的で、ブラジル当局による事情聴取のための時間と日程の調整に当たっている」と、アメリカオリンピック委員会(USOC)の広報担当者、パトリック・サンダスキー氏は声明を発表した。「全ての手続きは弁護士を通して行われており、USOCとリオのアメリカ領事館から必要なサポートは十分に受けている」
ジャック・コンガーとグンナー・ベンツはブラジル出国の差し止めを受けた後、リオデジャネイロの空港警察へ任意同行した。
■リオ五輪広報担当者「選手たちを許してあげるべき」
リオ五輪広報担当のマリオ・アンドラダ氏は、今回の事件で競泳選手たちを許してあげるべきだと話している。
「彼らにチャンスをあげようではないか。誰にだって時に後悔するような行動を取ってしまうことはあるものだ。彼らは素晴らしいスポーツ選手だ」と、18日の記者会見でアンドラダ氏は語った。「ロクテは史上最高の競泳選手でもある。彼らは楽しい時を過ごしたが、間違いも犯してしまった。人生とはそういうものだ。人生は長いんだ」
ロクテは17日、NBCのマット・ラウアーとのインタビューで証言をころころ変えていた。当初、彼は銃を頭に突きつけられたと主張していたが、インタビューでは、銃は自分に向けられたと語った。また、警官を装った人物にタクシーを止められたとの当初の供述を変え、トイレを借りるためガソリンスタンドに立ち寄った時に事件が起こったとインタビューでは話していた。
(ルシアナ・サルメントによるブラジル、サンパウロからのレポート)
ハフポストUS版より翻訳・加筆しました。
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