ドナルド・トランプ氏、「最も危険な政治フィクサー」起用で過激路線復活か

「バノン氏は、トランプ氏の最も悪い部分を引き出すことになる」
Donald Trump, 2016 Republican presidential nominee, reads from a teleprompter during a campaign event at Youngstown State University in Youngstown, Ohio, U.S., on Monday, Aug. 15, 2016. Trump's plan to prevent terrorist attacks on American soil includes a screening test meant to allow entrance only to immigrants 'who we expect to flourish in our country.' Photographer: Ty Wright/Bloomberg via Getty Images
Donald Trump, 2016 Republican presidential nominee, reads from a teleprompter during a campaign event at Youngstown State University in Youngstown, Ohio, U.S., on Monday, Aug. 15, 2016. Trump's plan to prevent terrorist attacks on American soil includes a screening test meant to allow entrance only to immigrants 'who we expect to flourish in our country.' Photographer: Ty Wright/Bloomberg via Getty Images
Bloomberg via Getty Images

アメリカ大統領選の共和党候補ドナルド・トランプ氏が8月16日、選挙陣営の幹部を刷新した。劣勢に立たされた大統領選で、状況を好転させるための必死の試みだ。

トランプ氏は、保守系ニュースサイト「ブライトバート・ニュース」のスティーブン・バノン会長を選挙対策本部の最高責任者(CEO)に、共和党の世論調査専門家で同党の顧問を務めてきたケリーアン・コンウェイ氏を陣営の責任者に任命した。

「ブライトバート・ニュース」のスティーブン・バノン会長

17日に発表された声明によると、バノン氏はトランプ陣営のスタッフや日々の業務を監督、コンウェイ氏は主にメッセージに重点を置く方針だ。コンウェイ氏はまた、党大会や演説の際はトランプ氏に同行するという。

「我々は、11月にヒラリー・クリントンを破るために必要な経験と知識を兼ね備えた、政界で最も優れた人を加えた」と、トランプ氏は声明の中で語った。

今回の刷新に至るまで、トランプ陣営は悲惨な1カ月を過ごした。トランプ氏の一連の失言と著名な共和党員のトランプ離れが目立ち、世論調査の評価や支持率が急落した

事態はさらに悪化している。共和党の古参メディアコンサルタント、リック・ウィルソン氏は、トランプ氏自身がわざと選挙運動を台なしにしようとしているのではないかと語った。17日、トランプ氏はこのような懸念を一蹴しようとした。「私は今回の選挙に勝ち、大統領になるためなら何でもする」

バノン氏とコンウェイ氏を陣営の幹部に加えたことで、長年共和党の選挙参謀をつとめ、トランプ陣営の選対本部長を務めていたポール・マナフォート氏が降格した。

ポール・マナフォート氏

7月にトランプ氏は、それまで選対責任者だったコリー・ルワンドウスキ氏を解任した後、マナフォート氏はトランプ陣営の選挙戦略の責任者となった。しかし、親ロシア派だったウクライナのヤヌコビッチ前大統領から1270万ドル(約13億円)もの巨額の資金提供を受けていた疑惑が浮上した。マナフォート氏はヤヌコビッチ前大統領が率いる与党「地域党」のコンサルタントを務めていた2007〜2012年の間、党の帳簿に本人の名前が22回記載されていたという。

■「バノン氏は、トランプ氏の最も悪い部分を引き出すことになる」

マナフォート氏は声明の中で、新たに加わったスタッフは「間違いなく陣営を成功の新しい段階まで導くことができる」と語った。

しかし11月8日の投票まであと3カ月もない中、トランプ氏の支援者やアドバイザーの多くは、11月にトランプ氏がクリントン氏と闘える競争力を保つためには大きな変化が必要だと感じている。

トランプ氏は16日の夜、ウィスコンシン州の演説で、マイノリティと無党派に支持を訴えた。トランプ氏は批判する人を攻撃したり、事実を誇張したり、即興で話すことは控えていた。しかしこれまでの多くのリアリティ番組で、いわゆる「ピボット(ころころ意見を変える男)」と呼ばれたように、今回の慎重なスタイルも長く続きそうにない。

バノン氏はかつて海軍に所属し、ゴールドマン・サックスで勤務したこともある。バノン氏が運営する「ブライトバート・ニュース」は、トランプ氏を支持し、共和党の主流派やイスラム教徒を攻撃する過激な保守派のサイトだ。政治経験がないバノン氏を起用したことで、トランプ氏は強引で対立を招く方法で大統領選を闘うとみられる。

無鉄砲な保守派として知られるバノン氏は、ポピュリストとナショナリストへ共感を示しており、以前から共和・民主両党から嫌われる存在だった。さらにトランプ氏と同じく、バノン氏も政界のエスタブリッシュメント(既得権益層)を攻撃している。17日の声明では、バノン氏がかつて自身が「アメリカで最も危険な政治フィクサー」と呼ばれていたことを自慢気に語った。

しかし昔からのトランプ氏の支援者や支持者らは、バノン氏が起用されたことを懸念している。「バノン氏は、トランプ氏の最も悪い部分を引き出すことになる」と、ある情報筋は語る。

トランプ氏がバノン氏を起用する前、2人は何カ月も話し合っていた。ワシントン・ポストによると、バノン氏は衝動的でカッとなりやすいトランプ氏に、発言を控えろと言う人は無視するようにと勧めたという。

このアドバイスはトランプ氏の心に響いた。彼は選挙期間中「ピボット」と呼ばれるのを嫌っていた。「私は私だ」とトランプ氏は16日、ウィスコンシン州で行われたテレビ局のインタビューで語った。「私は変わりたい訳ではない。みなさんは『ああ、あなたは方向転換するのか』と言うが、方向転換はしたくない。政策を転換するのは、国民に対して不誠実だ」

ハフポストUS版編注:ドナルド・トランプ氏は世界に16億人いるイスラム教徒をアメリカから締め出すと繰り返し発言してきた嘘ばかりつき極度に外国人を嫌い人種差別主義者ミソジニスト(女性蔑視の人たち)、バーサー(オバマ大統領の出生地はアメリカではないと主張する人たち)として知られる人物である。

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