同性愛者であることを同級生に暴露された後、心身に不調を来して、建物から転落死した一橋大法科大学院生の男性(当時25)の両親が、大学と同級生に計300万円の損害賠償を求める訴訟を東京地裁に起こした。8月5日に第1回口頭弁論があり、同級生と大学側は請求棄却を求め、争う姿勢を示した。NHKなどが報じた。
訴状によると、男子学生は2015年4月、この同級生に恋愛感情を告白した。同級生は「気持ちには応じられないが友人関係は続ける」と答えたが、その後同級生10人でつくる無料メッセージアプリ「LINE」のグループに、「おれもうおまえがゲイであることを隠しておくのムリだ。ごめん」と投稿した。男子学生はこのメッセージに対し、「たとえそうだとして何かある?笑」などと返信したという。
男性はその後、同級生に会うと吐き気や動悸(どうき)がするようになった。心療内科に通うようになり、大学のハラスメント相談室に相談していたという。8月、授業中にパニック発作を起こして保健センターを訪れた後、大学内の建物のベランダを乗り越え転落死した。
遺族側は、「差別や偏見が多い現在の社会で、自らの意思に反して暴露され、不安や恐怖を受けた」と主張。大学も十分な対策を取らなかったと訴えている。男子学生の妹は「一瞬にして兄の人生を、家族の人生を変えられてしまいました。生前、兄が被告学生を訴えたいと言っていたので、本人の無念を晴らすために提訴しました」とコメントを読み上げた。
■望まない「アウティング」によって、人生が変わった
2015年の渋谷区や世田谷区における同性パートナーシップの取り組みをきっかけに、日本でもLGBTなどの性的マイノリティへの関心は高まっているように見えたが、まだまだ社会の理解が進んでいないのが現状のようだ。
この裁判では、本人の了解を得ずに、公にしていない性的指向や性自認を暴露する「アウティング」が問題となっている。望まないアウティング行為によって、男子学生はこれまでの日常生活を送ることができなくなった。
この報道を受けて、人々はアウティングについてどう思ったのか。Twitter上では、様々な意見が挙がっている。以下にその一部を紹介する。