バーニー・サンダース氏、「ヒラリー・クリントン氏を次期大統領にするために何でもやる」支持を正式表明

「ヒラリーがアメリカの次期大統領になるために、私は何でもするつもりです」

バーニー・サンダース上院議員は、大統領選候補として民主党の候補指名を確実にしたヒラリー・クリントン氏を支持した。

アメリカ大統領選の民主党予備選で候補指名を確実にしたヒラリー・クリントン前国務長官と争ったバーニー・サンダース上院議員は7月12日、クリントン氏への支持を公式に表明した。

「クリントン氏は民主党の指名争いを制し、私はそれを祝福します」と、サンダース氏は述べた。「彼女は大統領選の民主党候補者となります。ヒラリーがアメリカの次期大統領になるために、私は何でもするつもりです」

サンダース氏は民主党予備選で自身に投票した人々、特に予備選で最初に勝利したニューハンプシャー州の人々、そして故郷バーモント州の人々に感謝した。また、共和党の指名候補を確実にしている実業家のドナルド・トランプ氏をけん制した。勤労者世帯にとってビジネス界の権力者は好ましくないと主張し、トランプ氏の経済政策を「無謀だ」と述べた。

またサンダース氏は、トランプ氏の反メキシコ、反イスラム教的な言動を批判し、共和党候補者がアメリカ人を分断すると主張した。

「ストレスに満ちたこの時代、今回の選挙は人々を分断するのではなく、一つに団結するものでなければなりません」と、サンダース氏は述べた。

「ドナルド・トランプがメキシコ人、イスラム教徒、女性、アフリカ系アメリカ人、退役軍人を侮辱ばかりしているうちに、ヒラリー・クリントン氏は多様性こそが我が国最大の強みだとを理解しています。そうです。アメリカは、黒人と白人、ラテン系、アジア系アメリカ人、ネイティブアメリカンの我々全員が団結したとき、一層強くなれるのです。そうです。男性と女性、若者と高齢者、ゲイとストレート、アメリカ生まれと移民が、この国にあるあらゆる種類の偏見を一掃するために闘うとき、一層強くなれるのです」

クリントン氏はそれまでの指名争いを称え、サンダース氏に支援を感謝した。

「ここニューハンプシャー州で彼と一緒に立っていると、私たちが今同じ側にいるこの選挙がこれからさらに楽しめると思います」と彼女は述べた。「さあ、あなたの支持で、ドナルド・トランプを倒すために力を合わせ、11月に勝利し、我々全員が信じる未来を一緒に築いていきましょう」

彼女はまた、人々を政治により目を向けさせようとするサンダース氏の主張とその能力を称賛し、彼の"不正と闘う人生”を褒め称えた。

「時間が経つにつれ、私は同僚そして友人として、サンダース氏と親しくなりました」と彼女は述べた。「サンダース氏の情熱的な主張に対する評価は、必ずしもワシントンで最も支持されていたというわけではありません。しかしお分かりですか?それは大抵の場合、正しいことをしている証でもあるのです。そして、今回のキャンペーンを通して、サンダース上院議員は人々を傍観者的な立場から引っ張り出し、政治に巻き込みました。彼は我が国を深く憂慮する若者世代を活気づかせ、刺激を与えたのです」

クリントン氏は大統領候補の指名に必要な代議員の大半をすでに確保し、指名獲得をほぼ確実としている。

民主社会主義者を自称するサンダースの存在は当初、クリントン氏がホワイトハウスを目指す上で脅威になるとは考えられていなかった。しかし経済格差の不正を正すことに重点を置いたサンダース氏の革新的なメッセージは多くの有権者の共感を呼んだ。

サンダース氏は選挙戦初期にニューハンプシャー州で勝利した。この勝利は、ほとんどの専門家が事前には予想していなかった。3月のミシガン州で行われた予備選では、事前調査で大幅にリードしていたクリントン氏を破り、世間を驚かせた。サンダース氏の痛烈な経済政策批判がもたらしたミシガン州の勝利は、他の中西部州での選挙活動に弾みをつけた。

「中西部の州は、ミシガン州の労働者たちと同じく、我々、そして我々のメッセージに応えようとしている。それはつまり『1%のためだけの経済ではなく、私たち全体のための経済を』ということだ」と、サンダース氏は言った

しかし3月15日のミニ・スーパー・チューズデーではクリントン氏がフロリダ、イリノイ、ミズーリ、ノースカロライナ、オハイオで勝利した。彼女は大きな州で勝ち続け、サンダース氏は獲得代議員数でリードされ、苦戦していた。

それでもサンダース氏は食い下がった。クリントンがペンシルベニアやニューヨークなどの大きな州でほとんどの代議員を獲得した一方、サンダース氏は3月末から5月中旬まで比較的小さな州で勝利を積み重ねた。しかしサンダース氏がクリントン氏を特別代議員数で追い抜くのはほぼ不可能だったが、クリントン氏を支持する特別代議員がサンダース氏に寝返ることを期待して、7月25日から始まる民主党大会まで選挙戦を続行すると明言した。

トランプ氏が共和党の候補指名を確実にすると、サンダース氏は11月の総選挙でトランプ氏を倒せるのは自分のほうだと有権者を説得にかかった。しかし予備選終盤になっても、クリントン氏が依然として代議員数でリードしていた。

多くの評論家が、バーニー・サンダース氏は泡沫候補だと考えていた。

無所属だったサンダース氏が予備選に出馬を表明したのは2015年4月のことだった。それまで無名の存在だったサンダース氏は、指名候補が確実視されていたクリントンに取って代わる「進歩的な候補者」として自身を売り込んだ。

「私を侮ってはいけません」と、サンダース氏はAP通信に語った。「私は2大政党制の枠の外で立候補して民主党と共和党を倒し、カネまみれの候補者たちを相手に戦います。ですから、バーモントに響き渡ったメッセージは、この国全体にも響かせることができるものだと思います」

サンダース氏は夏から秋にかけて勢いを増し、ロバート・ライシュ元労働長官やApple共同創立者スティーブ・ウォズニアック氏、経済学者のトマ・ピケティ氏、ラッパーのキラー・マイク、映画監督のスパイク・リー氏、喜劇女優のサラ・シルバーマンなど著名人たちから賛同を得てきた。また、サンダースは低賃金の労働者層を中心に小口の献金を大規模に集めて選挙活動を展開した。ほぼ全額がオンラインでの寄付で、1件あたりの平均は27ドル(約3200円)という。寄付金の額は2015年10-12月で3360万ドル(約40億7000万円)、2016年1月だけで2000万ドルに達した。およそ130万人が325万件の寄付をしたという。

選挙活動を通して、サンダースは有権者にこう訴えかけた――クリントン氏は企業利権の恩恵を受け過ぎていて、労働者階級のアメリカ人を十分に代表できない。その例として彼は、ウォール街の富裕層から受け取っている寄付をやり玉に挙げた。またサンダース氏はクリントン氏に、彼女がゴールドマン・サックスから報酬を得て実施した講演の原稿を公表するように迫った。一方のクリントン氏は、サンダース氏の中傷的な戦術を非難し、寄付金が彼女の政策的立場に影響を与えたことを否定した。

クリントン氏とサンダース氏は、医療保険制度や銃規制の問題などについても、頻繁に激しい論戦を繰り広げた。しかし、この2人の候補者の主な違いは、ビジョンの違いだった。ハフポストUS版のジョナサン・コーンは次のように解説していた

ヒラリー・クリントン氏とバーニー・サンダース氏は、根本的なビジョンをめぐり議論していた。次期大統領は、リベラルな政策課題の妨げとなる政治的な障害を取り除けるか、あるいは弱めることができるのか?

サンダース氏の答えは「イエス」だ。クリントン氏は、「ノー」だと考えている。

ハフポストUS版より翻訳・加筆しました。

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