舛添要一前知事の辞職に伴う都知事選(7月14日告示、31日投開票)について、前岩手県知事で元総務相の増田寛也氏が7月11日に記者会見を開き、東京都知事選への立候補を正式に表明した。
増田氏は、会見で「4年間で3人の都知事が任期途中で交代したことで都政は停滞、混乱している」と述べた。その上で、「3つの不安の解消に取り組む」として、以下の不安解消を選挙公約を説明した。
・8000人にのぼる待機児童問題などの「子育てについて不安」
・介護施設の不足など「高齢化社会への不安」
・30年以内に70%以上の確率で発生するとされる首都直下地震対策など「災害への不安」
■総務相時代に実施した「東京→地方への税の再分配」制度を問われると…
増田氏は総務相だった時に、大都市の法人事業税の一部を地方に再分配する「地方法人特別税」を打ち出した。会見では「東京都の税収が減ったことは、都民の痛手ではないか」と報道陣から問われる場面があった。
増田氏は「(総務相時代だった)2007年から08年にかけて、特に東京と地方の税の偏在が拡大した。都には苦渋の選択だったが、期間を2年程度に限定して導入した」と、緊急的な対応が必要だったと説明。その上で「今は、消費税の引き上げの時に解消すると、制度的な対応は図られている。東京の財政事情は保育、介護、オリンピックなど財政需要が見込まれる。東京都民の税を守るという形で考えている」と述べた。
また、舛添前知事が進めていた韓国人学校への都有地の貸し出し問題について問われると「庁内で十分に議論されていないのではないか。白紙に戻して、どのような利用方法あるのか考えていきたい」と述べた。都有地貸与については、すでに小池百合子氏も「白紙撤回」を表明している。
■17年ぶりの「保守分裂選挙」へ
NHKニュースによると自民党東京都連は同日午前、増田氏の擁立を正式に決めた。
すでに立候補を表明している自民党の小池百合子衆院議員は10日夜、自民党都連に「推薦願い」を取り下げる文書を提出。その上で11日朝に「ありとあらゆる外堀が、自民党員でない方に固まってきている。『都議会のドン』の支配ではなく、都民のための都政を取り戻すと訴えたい」と報道陣に述べ、都連との対決姿勢を明確にした。
小池百合子氏
このまま増田氏と小池氏がともに立候補すれば、都知事選では1999年以来、17年ぶりに「保守分裂選挙」になる。99年は、自公両党が推薦した明石康氏と、自民出身の石原慎太郎氏、柿沢弘治氏らが争い、石原氏が初当選を果たした。
これまでに東京都知事選には、元日弁連会長の宇都宮健児氏、労働大臣を務めた山口敏夫氏、マック赤坂氏、桜井誠氏、今尾貞夫氏、山口節生氏、中川暢三氏、河野なみ平氏、立花孝志氏、高橋尚吾氏などが立候補を表明している。
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