フランス国民戦線のマリーヌ・ルペン党首は、極端な政治観ゆえにドナルド・トランプ氏とよく比較される
アメリカ大統領選で共和党の候補指名を確実にしたドナルド・トランプ氏は現在、フランスの極右政党のマリーヌ・ルペン党首から支持を受けている。彼女はヨーロッパで移民・難民排斥、反イスラムのヘイトスピーチをすることで有名だ。
愛国主義で反EUの政党「フランス国民戦線」のマリーヌ・ルペン党首は、「もし自分がアメリカの大統領選挙で投票できるとしたら、事実上の共和党候補を選ぶ」と明かした。
「ヒラリー・クリントンには絶対に投票しません」と、ルペン氏はフランスの保守系雑誌「ヴァルール・アクチュエル」に語った。「彼とヒラリー・クリントンのどちらかを選ぶなら、間違いなくドナルド・トランプを選びます」
「(クリントンは) 経済モデルや国際関係の面でアメリカがこれまで作り上げ、世界中に害を撒き散らしてきた典型的な人物です」と、ルペン氏は付け加えた。
ルペン氏はトランプ氏の「並外れたショーマンシップ」を絶賛し、「彼がアメリカ人にとって魅力的なのは、ウォール街、市場、金融ロビー団体、自身の政党からも自由な人間だからです」と語った。
ルペン氏は最近フランスの政界で存在感を増している。ロイター通信によると、世論調査では2017年の大統領選挙でルペン氏が躍進すると見られている。
トランプ氏への支持は、この1年のうちにルペン氏率いる国民戦線の中で高まっている。ルペン氏が公の場でトランプ氏を支持したのは、国民戦線の初代党首である父ジャン=マリー・ルペン氏が2月にトランプ氏への支持を表明したためだ。
「もし私がアメリカ人なら、ドナルド・トランプに投票します」と彼は2日、フランス語でツイートした。「でも、彼に神のご加護がありますように!」
政治評論家は以前からトランプ氏とルペン氏の、移民、キリスト教的価値観、気候変動や愛国主義についての極端な見方を比較してきた。2015年12月号の雑誌「ニューヨーカー」は、「ドナルド・トランプは今やアメリカ版マリーヌ・ルペンだ」と見出しを付けて報じた。
しかしルペン氏はトランプ氏と比較されるのを嫌がっている。ルペン氏はニュースチャンネル「BFMTV」にこう語った。「私はアメリカ人ではありません。私は、(前フランス大統領の)二コラ・サルコジではありません。いいですか? アメリカ人ではありません。私はフランス人です。私はフランスにいるすべてのフランス人を出身地や宗教に関係なく守ります」
このフランスの愛国主義者は、フランスの移民受け入れに終止符を打ち、国境管理を強化するよう求めている。
「EUが何と言おうと、フランスが再び自国の国境を再び管理することが必要です」と、11月にパリで起きた同時多発テロ事件後ルペン氏は語った。「国境がなければ、警備や防衛はできません」
ハフポストフランス版が3月に実施した調査会社「YouGov」の調査では、回答したフランス人の32%がトランプ氏にそっくりな人物としてルペン氏を挙げ、ライバルのサルコジ元大統領(10%)や ベルナール・タピ氏(9%)を大きく引き離した。
編注:ドナルド・トランプ氏は世界に16億人いるイスラム教徒をアメリカから締め出すと繰り返し発言してきた、嘘ばかりつき、極度に外国人を嫌い、人種差別主義者、ミソジニスト(女性蔑視の人たち)、バーサ―(オバマ大統領の出生地はアメリカではないと主張する人たち)として知られる人物である。
ハフポストフランス版の英訳を翻訳・加筆しました。
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