秋田県でクマに襲われたと見られる4人の遺体が見つかった事件に関して、鹿角市十和田大湯の山林で6月10日に射殺されたクマの胃から、人体の一部が見つかった。 一連の被害はこのクマによる可能性が浮上している。秋田魁新報などが13日に報じた。
■胃から人体の一部を発見
スポニチによると、射殺されたのはメスのツキノワグマで、体長約1.3メートル。青森県十和田市の女性(74)の遺体発見場所の近くの山林で、地元猟友会に射殺された。
クマの胃と腸を調べたところ、中から人の体の一部(体毛と肉)が13日に見つかった。胃の内容物はほとんどがタケノコで、口に近い上部に人の体の一部があった。腸は消化が進み内容物はほとんどなかった。被害者の特定につながる衣服は見つからなかったが、遺体が発見されたばかりの女性の可能性が高いという。
NHKニュースによると、クマの生態に詳しい岩手大学の青井俊樹名誉教授は「ツキノワグマが人を襲って食べることは珍しく、一連の被害は、このクマによる可能性が高い」とコメントしている。
■5月以降、4人の遺体が見つかる
この付近の山林では5月21、22日にタケノコ採りに来た70代男性2人の遺体が、相次いで発見され、同30日にも60代男性が死亡しているのが見つかった。傷の状況などから、いずれもクマに襲われたとみられている。
クマの生態に詳しい獣医師の小松武志さんは「仮に襲ったのが同じクマだった場合、人は食べられると学習している恐れがある」と指摘。
日本クマネットワーク代表の大井徹・石川県立大教授も「タケノコはクマにとってもごちそうなので、最初はたまたま鉢合わせた人を襲ったのだろうが、それで人間を襲うことを学習したのではないか」と話している。
同一のクマが連続して人を襲った事件には、1915年12月に起きた「三毛別羆事件」がある。北海道苫前町三渓(旧・三毛別)の六線沢で、15戸が暮らす開拓地をオスのヒグマが襲い、2日間で胎児を含む7人が死亡、3人が重傷を負った。
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