このITFの処分を受けて、シャラポワは自身のFacebookに長文の声明を掲載し、「不当に厳しすぎる」処分に対する自身の言い分を詳細に記し、ITFの資格停止処分に対し異議申し立てを行う旨を表明した。
今日、ITFによる2年間の出場停止処分に関し、ITF審議会では満場一致で私の行為が故意のものではなかったという結論に達しました。審議会は、私が競技力向上効果があるとされる薬物を入手する目的で医者の治療を受けたわけではないことを知りました。
ITFは、私が故意にアンチドーピングのルールを犯したということを証明しようと膨大な時間と手段を費やしてきましたが、審議会はそれを却下しました。言っておきますが、ITFは審議会に対し、私の出場停止処分を4年間にするよう要求したのです。これは故意にルールを犯した場合の処分期間に当たります。そして審議会はそのITFの申し立てを却下したのです。
私がアンチドーピングのルールを故意に違反したわけではないという審議会の結論は正しいことですが、2年間の出場停止という不当に厳しい処分を受け入れることはできません。審議会のメンバーはITF自体によって選出されているわけですが、その審議会が私は意図的な違反行為を何も行っていないと認めているにもかかわらず、ITFは2年間テニスをさせないようにしようとしているのです。私は直ちにスポーツ仲裁裁判所(CAS)に対し、今回の処分の出場停止について異議申し立てをするつもりです。
早くテニスがしたいし、私の素晴らしいファンのみなさんにも会いたいのです。私のファンのみなさんは本当に世界一私に忠誠的で素敵な人たちです。みなさんからのメールを読みました。ソーシャルメディアへの書き込みも読んでいます。
みなさんの愛と支援があればこそ、このつらい日々を乗り越えることができました。自分の正しいと信じることを貫くつもりです。だからこそ、1日も早くテニスコートに戻れるよう、戦うつもりです。
マリア
追伸:私の弁護士が、ITFによる処置の仕組みについて短い概要をまとめました。ファンのみなさんにもそれを一緒に見ていただいて、ITFルールの要綱について知っておいていただければと思っています。
シャラポワによると、ITFは薬物違反に対する標準的な処分期間である「4年間の出場停止処分」を提案した。ITFによって任命された3人で構成される独立裁定機関は、最終的に2年間の処分を科した。
それはおそらく、シャラポワが初犯であり、1月に行われた全豪オープンの薬物検査に不合格になったことを認め、認められていない薬物であることが分かっていながら故意に禁止薬物を摂取したわけではないことが明らかになったため、と独立裁定機関は報告している。シャラポワは、3月12日に暫定的な資格停止処分を受けており、以来ITFの告発に対し抗弁している。
違反薬物の使用を告白した際、シャラポワは過去10年間にわたり、公表していない健康上の理由で禁止薬物のメルドニウムを摂取していたと主張した。メルドニウムは、1月に世界アンチ・ドーピング機関の禁止薬物に新たに追加されており、潜在的なPED(運動能力向上薬)の使用であるとしている。独立裁定機関は、シャラポワが医師の処方でメルドニウムを摂取していないことに気づいた。
この薬物は通常は医師が処方するもので、患者は最長で6週間までしか服用できない。それでも、シャラポワと独立裁定機関は両者とも、彼女が不正を意図せずにメルドニウムを摂取した、と述べている。しかし、独立裁定機関は、シャワポワがメルドニウムが最近禁止薬物に指定されたかどうかを確認していなかったことについては過失と認めた。
ロシアで販売用に陳列されているメルドニウム
アメリカの食品医薬品局では、メルドニウムを認可していない。多くの東欧諸国では医師の処方箋なしで入手できるものの、アメリカ国内での使用は認められていない。7歳からアメリカに在住しているシャラポワが、どのようにしてメルドニウムを入手したのかについては、まだはっきりしていない。
もしシャワポワの処分が支持されれば、プロテニス界における彼女のキャリアは大きな危険にさらされる。シャラポワの主要スポンサーであるナイキは、3月にシャラポワとの契約を停止し、時計メーカーのタグ・ホイヤーや、自動車メーカーのポルシェといった他の広告主もこれに続いた。現在29歳のシャラポワは、最近のシーズンではケガに悩まされ続けている。今回提案された出場停止処分が明ける頃には30代となることから、グランドスラムを目指すシャラポワの名声に傷をつけることになるだろう。
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