民主化を求めた学生たちが中国・北京で武力鎮圧された「天安門事件」から6月4日に27年をむかえた。これに合わせて香港中心部のビクトリア公園では4日夜、民主派団体が主催する毎年恒例の追悼集会が開かれたが、今年は「香港独立」を主張する学生団体などが参加を見送り、民主派勢力の分裂が鮮明となった。産経新聞などが報じた。
この日の集会は、天安門事件当時に中国の民主化運動を支援するために結成された「香港市民愛国民主運動支援連合会」(支連会)が主催した。参加者たちはロウソクを掲げて犠牲者を追悼した。共同通信によると、集会参加者は12万5000人(主催者発表)で、2015年より1万人少なかった。
■学生団体は追悼集会に不参加 なぜ?
この日、ビクトリア公園の追悼集会に参加しなかった学生団体は大学構内などで独自の討論会を開き、追悼集会が形骸化していると非難。「中国本土よりも香港の民主化を優先すべき」と訴えた。
香港大学や香港中文大などの有力な学生団体はこの集会に参加せず、大学構内などで「天安門事件の意味を考え直して香港の将来を考えよう」と訴える独自の討論会を開いた。学生団体は支連会が訴えている「民主中国の建設」に対し、「香港にそのような責務はない」と反論した。
(【天安門事件から27年】香港民主派が“分裂” 離脱の学生団体「本土よりも香港の民主化」独立を訴える急進派台頭(1/2ページ) - 産経ニュースより 2016/06/05 20:43)
こうした動きについて、毎日新聞は「民主派内部の対立がさらに深まる可能性がある」と報じた。TBSニュースによると、「香港独立」を掲げてビクトリア公園の集会に乱入した学生団体もあり、会場は一時騒然となったという。
香港では、2014年秋に民主化を求めるデモ「雨傘運動」がおこったが、中国政府は民主化要求を拒否。このデモをきっかけに、香港人としての意識を強めた若者らの間では「香港人が中国本土の民主化を考える必要はない」という意識が広まっているという。
また2015年末以降、中国共産党に批判的な書籍を扱う香港の書店関係者が相次ぎ失踪し、中国側に連行された疑いがある。学生団体の主張の背景には、香港の言論の自由や司法の独立を保障した「一国二制度」が脅かされているという危機感があるとみられている。
■中国本土では民主活動家らが拘束される
北京中心部の天安門広場などでは4日、多数の警官が配置されるなど厳戒態勢が続いた。共同通信によると天安門の近くでは、走行中のバスの窓から複数の人が何かを訴えるためのビラをまき、警官に連行されるなど、一時騒然となる場面があったという。
朝日新聞デジタルは香港の民主派団体の情報として、追悼集会を開いたなどとして北京、重慶などで少なくとも民主活動家ら10人が拘束され、6人が行方不明になっていると報じた。
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