オバマ大統領が広島の平和記念公園で行ったスピーチを執筆したのは誰なのだろうか?ガーディアンによると、外交政策のスピーチライターは、ホワイトハウスのローズ大統領副補佐官が務めている。しかし、これを否定するように、ローズ氏は5月31日、自身のブログにオバマ氏によるとする手書きの広島スピーチ原稿の写真を公開し、オバマ大統領自身が書いたことを強調した。
ブログはベトナムと日本の訪問を振り返るもの。写真で公開されたのは、「Seventy one years ago, on a bright, cloudless morning」から始まる冒頭部分。実際のスピーチでは「71年前の明るく晴れ渡った朝、空から死神が舞い降り、世界は一変しました。閃光と炎の壁がこの街を破壊し、人類が自らを破滅に導く手段を手にしたことがはっきりと示されたのです」となっていた。この部分について、破滅に招く「手段」の部分が「能力」から修正された痕跡が残されている。
ローズ氏はベトナム経由で日本入りした「歴史を振り返る旅」の最中、オバマ大統領は何度もスピーチ原稿に手を入れていたと明かした。当初は短く「所感」を述べるにとどめると発表されていたが、当日は17分間の長いスピーチになっていた。
ローズ氏はブログで「大統領は謝罪はしなかった。アメリカ人は今も第二次世界大戦での我々の自由を守る戦いに誇りを持っている」と従来からのアメリカ側の立場が変わっていないことを強調。一方で、「被爆地を訪れた最初のアメリカ大統領として、核兵器のない世界と平和構築への道について話すことができた」。「ホーチミンの若者と広島の被爆者の中に、我々と同じ人間愛を見出せた」と20世紀に戦火を交えた2カ国への思いを記し、文章を結んだ。
ガーディアンによると、スピーチは歴代大統領と同じく「チームワークの産物」。各省庁などの同意を得て推敲が重ねられる。しかし、ローズ氏は2001年9月11日のアメリカ同時多発テロで政治を志すまでは小説家を目指しており、卓越したスキルを持つスピーチライターとして知られているという。ワシントン・ポストによると、2009年のプラハ演説やノーベル平和賞受賞演説も彼によるものだという。ガーディアンでは、ローズ氏が初稿や仕上げ作業を担ったと推測しながらも、手書きの文書などから「最終的には執筆者はオバマ氏だ」と結んでいる。
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