韓国人被爆者、広島で献花 「オバマ大統領は謝罪を」と求める切実な国内事情

広島平和記念公園を訪れ、公園の一角にある「韓国人原爆犠牲者慰霊碑」に献花した。

オバマ大統領の広島訪問を控えた5月27日午前、韓国人の被爆者5人と被爆2世1人らが、広島平和記念公園を訪れ、公園の一角にある「韓国人原爆犠牲者慰霊碑」に献花した。

NHKニュースによると、沈鎮泰(シム・ジンテ)さん(73)は以下のように述べた。

「オバマ大統領には、韓国人原爆犠牲者慰霊碑にも足を運んでもらいたい。そして、核兵器を使った国として謝罪し、責任を取って被爆者に賠償するべきだ」

沈さんは2歳のとき、広島で被爆した。父親は原爆では一命を取り留めたがその後の朝鮮戦争(1950~53)で死亡し、家族は貧困に苦しんできた。

当時、日本の植民地だった朝鮮半島の出身者も、数万人が広島で被爆したとみられる。慰霊碑には「2万人余り」が犠牲になったと刻まれているが、他の原爆犠牲者の死者数と同様、正確な数は明らかではない。犠牲者には旧韓国皇帝の孫で、日本の軍人として広島に赴任していた李鍝といった人物も含まれるが、多数の韓国人が原爆で犠牲になった事実は、韓国ではあまり知られておらず、原爆投下が「第2次世界大戦を終結させ、多くの人命を救った」とする歴史認識もまだ根強い。

「韓国も被爆国だ」という沈さんの主張の背景には、そうした実情がある。「大統領が(慰霊碑に)足を運べば、犠牲者に大勢の韓国人もいたことが世界に伝わるはず」と、来日前に朝日新聞のインタビューで語った(2016年5月17日付朝刊、大阪本社版)。

また、共同通信(韓国語版)によると、今回来日した「韓国原爆被害者協会」のメンバーは「(日本の)侵略戦争と植民地支配への責任を回避しようとする安倍政権の意図に利用されないことを望む」とする書簡をオバマ大統領に渡したいとの意向を表明した。

ただ、オバマ氏の献花に韓国人は招かれておらず、現実には難しいとみられる。メンバーの一人は「オバマ大統領の献花に、日本の被爆者とともに私たちも参列したい」と漏らした

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