日本人がロボットに対する恐怖心が薄いのは、漫画文化の功績だとする持論を、副総理兼財務相の麻生太郎氏が国際会議の場で展開した。「ロボットが人間を使うという恐れは日本人にはない。これは漫画のおかげだ」と話したと、朝日新聞デジタルが報じた。
麻生氏は5月3日、ドイツ・フランクフルトで開かれたアジア開発銀行総会で、ロボットへの投資の促進によって人間の仕事がロボットに奪われることにつながるのではないかと問われた際に、以下のように話したという。
「アストロボーイ(鉄腕アトム)とかドラえもんは、人間が困った時に助けてくれる。そうしたフィロソフィー(哲学)が頭の中に入っているので、ロボットが我々の職場をとっていくという意識は、多くの日本人には極めて薄い」
(「マンガのおかげでロボットへの恐れない」麻生氏が持論:朝日新聞デジタル 2016/05/04)
麻生氏は漫画好きで知られ、「マンガ・アニメ・ゲームに関する議員連盟」の最高顧問を務めている。2006年には自身のブログで以下のように書いていた。
考えてみれば日本だってたいしたものです。アニメの世界に、鉄腕アトム、ドラえもん、鉄人28号などのロボットが続々登場して、大ヒットしてきました。
ロボットという言葉のルーツをたどると、チェコ語で「労働」とか「苦役」というマイナスの意味を表すのだそうです。ところが日本のロボットたちはみんな「人間が困った時に助けてくれる優しい友だち」、つまりロボット、イコール善玉という見方が社会全般に根付きました。そのせいで産業用ロボットは何の抵抗もなく各産業分野に採り入れられ、生産性の向上をもたらした上、広く世界に輸出されていることはご承知のとおりです。
こういう風土を作ったのは、マンガ文化の大いなる業績だろうと、私は常々思っております。
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