2015年8月、北京を拠点とする写真家の初晓璐(チュー・シャオルー)さんはモスクワから平壌行きの列車に乗った。しかし、北朝鮮と韓国の間に持ち上がった紛争の影響で、途中で足止めを食い、列車はロシア国境近くにある北朝鮮の小さな村、豆満江(トゥマンガン)で停車した。初さんによると、そのおかげで、乗客は丸1日かけて、豆満江を歩き回ることができたという。
そこで初さんが目にしたのは、北朝鮮政府が外国人に見せたがるものとはまったく違う光景だった。物乞いと行商人がたびたび村の駅に現れたが、駅員に酷い扱いを受けていたという。歴代の指導者、金日成主席と金正日総書記の肖像を照らすもの以外、集落に灯りはほとんど無かった。
「北朝鮮に太った人はほとんどいません。みな痩せていました」と初さんは証言した。しかし、多くの人々が体操をしているのを目にし、多くの人々は頑強そうに見えたという。
北朝鮮の人口の78パーセントに当たる1000万人以上の人々が栄養不良だと、国連食糧農業機関の『世界の食料不安の現状 2015年報告書』は書いている。
初さんはスナップ写真を撮るために、スマートフォンの「レノボZ90-7」をあえて使った。持っていたプロ用のカメラを使うのは「目立ちすぎる」だからだという。
「住民は極端に警戒していました。私たちを警察に通報しました」。警官と兵士に尋問され、携帯電話の写真を2〜3枚削除したが、隠しておいた何枚かは無事だったと、初さんは語った。
「列車の車掌、税関職員、警官、兵士、旅行ガイドといった人々はみな、あなたのカメラと携帯電話から写真を削除する権利を持っています」。特に税関職員は、カメラ、携帯電話、ノートパソコン、フラッシュドライブなどの機器を検査する権利があった。
アメリカ国務省は旅行者向けに、北朝鮮で犯罪と見なされる行為の長いリストを出していて、無許可で写真を撮ること、外国人向けに指定されていない店で買い物をすることなどが含まれている。北朝鮮はアメリカ人大学生のオットー・ワームビアに、平壌でプロパガンダ標語の標識を盗もうとした容疑で、15年の強制労働の刑を宣告した。
翌日、初さんがやっと平壌に着いたとき、彼に同行する観光ガイドは、日常生活の写真を撮ることを禁止したが、反アメリカのデモやマスゲーム、観光地などの光景を写真に撮ることは逆に奨励された。
「旅行者は全員、旅行ガイドの指導の下で、指導者の銅像に敬礼しなければなりませんでした」と初さんは振り返った。
初さんが鉄道で旅した北朝鮮の様子は、以下のスライドショーで詳しく見ることができる。
この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。