ダウン症の子供たちに合うメガネを開発した、あるシングルマザーの物語。

あるシングルマザーは、ダウン症の娘をきっかけに会社を設立した。

あるシングルマザーは、ダウン症の娘をきっかけに会社を設立した。この女性の会社は、信じられない可能性を秘めている。

4人の子供のシングルマザーであるマリア・デラーピーナーさんは、眼鏡技師で、2004年にメガネの会社「Specs4us」を設立した。顔のかたちが独特なダウン症や他の障害のある子供たちのためのこの事業は、彼女の16歳の娘、ダウン症のエリンさんがきっかけで誕生した。

その偉業を成し遂げたデラーピーナーは4月上旬、ニューヨークで行われた「世界女性サミット」で功績を評価された。彼女は、仕事を続け、起業家精神とイノベーションで社会に貢献したとして、トヨタ自動車の助成金「マザーズ・イノベーション」の受賞者に選ばれた。

アメリカ国立小児保健発育研究所によると、ダウン症の子供たちの60パーセント以上は、視力障害があるという。そして全米ダウン症協会が指摘しているように、そのような障害のある子供たちは、そうでない子供たちより、メガネを必要とすることが多い。しかし、障害のある人々の多くが扁平な顔をしていているため、顔にフィットするフレームを見つけるのが難しかった。

「私は標準的なフレームが、顔にぴったり合わないことに気付きました」とデラーピーナーはサミットで語った。彼女は最初、一枚の紙の上に娘のためのフレームを設計した。

娘のエリンさんと、デラピーナさん

Specs4usのサイトによれば、こうした負担を軽減するため、Specs4usの「Erin’s World」のフレームラインは、デラピーナさんの娘からヒントを得て、低い鼻梁に合うように、メガネのアームは滑り落ちないように調整されている。

その会社は順調に売り上げを伸ばしているが、デラピーナさんは「やっとここまで来ました」と述べた。彼女は当初、自分の娘に合うフレームを設計したが、そのフレームをつくるのが難しいことに気づいた。

それでも彼女はつくり続け、「最終的に仕事を辞めて、自分の会社を始めることに決めました」と説明した。娘はそのとき病気で、デラピーナは彼女の世話をするために、採用面接を中断しなければならなかった。困難な環境のおかげで、彼女は会社を軌道に乗せることができた。

デラピーナさんは、メガネ製造業者の障害への認識を高めるだけでなく、障害のある人々が暮らしやすくなる点において、大きな役目を果たしている。しかし障害のある人々を手助けするために、とりわけ医療に関しては、さらに多くのことがなされなければならない。

「障害者に21歳まで提供されるサービスがある一方で、対象外の年齢になると、必要なサポートが受けられなくなることがよくあります」と、ベイラー医科大学のシンシア・ピーコック准教授兼医療ディレクターは、サミットで説明した。

「恐らくここにいる皆さんは、発達障害を持った人を知っているでしょうし、他の人々の家族や、他の状況でそのような人たちを見たことがあるでしょう」と、発達障害の人たちの診療所を運営するピーコック氏は語った。「私たちは、見て見ぬ振りをするわけにはいかないのです」

デラピーナさんは、なかなか語られることのない、障害のある人々を助けるために行動する、数少ない一人なのだ。

この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。