4月13日に投開票された韓国国会議員の総選挙(一院制、定数300)は、与党がまさかの過半数割れという結果になった。2017年末に実施される次期大統領選挙の顔ぶれを占う意味でも注目された今回の選挙。浮上した「ポスト・朴槿恵」を紹介する。
■安哲秀(アン・チョルス)「国民の党」代表
IT企業社長やソウル大学教授などを歴任した清新なイメージがあり、2012年の大統領選に立候補を表明したが、野党候補の単一化のために立候補を辞退した。その後、国会議員となって政界入りしたが、最大野党内で存在感を示せず、2016年に入って「共に民主党」を離党、「国民の党」を結成して代表となり、「2大政党政治の終焉」を訴えた。今回、39議席を得たことで、一気に政局の鍵を握る存在となった。
■文在寅(ムン・ジェイン)「共に民主党」前代表
人権派弁護士出身で盧武鉉・元大統領の側近。2012年の大統領選挙では「野党単一候補」として立候補したが、朴槿恵氏に僅差で敗れた。その後、安氏を共同代表として迎え入れたが、選挙直前に安氏の離党を防げなかった責任を取って、「共に民主党」代表を退いた。選挙では応援演説で全国を駆け回ったが、勝利をもたらしたことで、大統領選への再挑戦に可能性が出てきた(写真は2012年大統領選当時の文氏)。
■金富謙(キム・ブギョム)「共に民主党」議員
朴大統領の地盤で、長いこと保守の強い地盤として知られていた南東部の都市・大邱(テグ)に選挙区を移し、3回目で当選した。「共に民主党」系の議員が大邱で当選するのは31年ぶり、小選挙区では45年ぶり。保守の厚い岩盤を崩したことで、次期大統領候補としての注目度が一気に高まった。
■金武星(キム・ムソン)「セヌリ党」代表
与党国会議員の重鎮。朴槿恵氏とは現時点で距離を置いているが、セヌリ党の公認委員会が「反・朴槿恵」議員らを多数公認しなかったことに強く反発し、反抗した姿に人気が集まった。歯に衣着せぬ発言は親しみを持たれる一方、女性差別・同性愛差別的な発言には批判も強い。選挙後は一線を退く意向を示しており、大統領選に向けた準備ではないかと言われているが、責任者として戦った選挙が予想外の大敗で復活の道のりは多難だ。
また、今回の選挙には関係ないが、以下の人物も動向が注目される。
■潘基文(パン・ギムン)国連事務総長
外交官から外交通商相を経て韓国人初の国連事務総長になった潘氏は、立身出世を地で行く人物として韓国内の人気は高い。2016年末の任期満了を前に、2015年9月に中国・北京で「戦勝70年」軍事パレードを観覧したり、2016年には政界の元重鎮に手紙を送ったりしており、大統領選に「何らかの野心はあり、世論を探っている」(韓国紙記者)との観測がもっぱらだ。
■朴元淳(パク・ウォンスン)ソウル市長
弁護士として社会運動に関わり、巨大NGO「参与連帯」の設立に関わった朴氏は、現在ソウル市長の2期目。学校給食の無償化や非正規公務員の正規職転換など、革新・リベラル的な政策で人気が高い。李明博・前大統領もソウル市長を経ており、野党「共に民主党」の大統領候補に名前が挙がる重要人物の一人。