結核に署員19人が集団感染 警視庁渋谷署で何が起こった?

警視庁渋谷警察署の署員19人が、2015年末から2016年にかけて結核に集団感染していたことが分かった。
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警視庁渋谷警察署の署員19人が、2015年末から2016年にかけて結核に集団感染していたことが分かった。2015年2月に詐欺容疑で留置した60代の男が肺結核で死亡しており、この男から感染が広がった可能性があるという。毎日新聞などが報じた。


渋谷署では2015年12月、留置場を担当していた署員が結核に感染して発症。他の署員も調べたところ、さらに18人が結核に感染していたことが分かった。その大半は、留置場などで死亡した男を担当した署員だった。19人のうち6人が発症、3人が入院していた。すでに退院し、現在は自宅療養中だという

また、死亡した男の解剖を担当した東京都内の大学病院の医師ら7人の感染も判明した。スポニチは関係者の話として、大学病院側は解剖時点での死因を「肺炎の疑い」としていたが、その後「死因は肺結核」という報告書が2015年6月30日付で警視庁本部に送られたと伝えた。一方で、渋谷署が死亡した男の解剖結果を把握したのは、2015年8月だったと時事通信ニュースは報じた。

結核は感染症法により、診断した医師がただちに最寄りの保健所に届け出る義務があるが、大学病院側は今年1月まで届けていなかった。保健所への届け出が遅れたことについて、大学病院側は「死因・身元調査法では警察から関係機関に届け出るとされており、こちらから積極的に届け出なかった」と説明している

NHKニュースは、渋谷署の小林仁副署長のコメントとして「男性が肺結核で亡くなったと分かった時点で、署員に検査を受けさせるべきだった。結核に対する認識が不足していた」と伝えた。今のところ一般の人への感染は確認されておらず、渋谷署は署員およそ80人に検査を受けさせて、感染の有無や感染経路などを詳しく調べている。

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